こんにちは。
相続について悩んでいる方々に向けて、ちょっとだけ役に立つ(はずの)お話をしようと思います。家族のなかで「私の子どもは親からお小遣いを多めにもらっていたかも…」とドキッとした経験はありませんか? 親としては悪気はなくても、お金の使い道や状況によって、子どもや孫に差が出ることはあるものです。
しかし、いざ相続の話になったとき、「え? お前の子どもばっかり可愛がられて、お小遣いもたくさんもらってたじゃないか。同じ相続分だなんて納得いかない!」と兄弟から不満が飛び出すことも…。いきなり言われたら、「ええっ!?」と戸惑ってしまいますよね。
そんなとき、どんなポイントが揉める原因になるのでしょうか? そして、どうすれば事前にトラブルを避けられるのでしょうか? 相続の話って難しく感じるかもしれませんが、なるべくやさしく丁寧に説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 相続の基本は「法定相続分」…だけじゃない?!
最初に押さえておきたいのが「法定相続分(ほうていそうぞくぶん)」という考え方です。これは法律で定められた、相続人がどれだけの割合で遺産を受け取れるか、という目安のこと。
たとえば、配偶者と子どもが相続人となるケースでは、「配偶者が2分の1」「子ども全員で2分の1」というように決められています。子どもが2人なら、子ども同士で2分の1を等分するので、各4分の1ずつ…というイメージです。
ただし、実際の相続では、法定相続分だけで決まるとは限りません。なぜなら、被相続人(亡くなった方)の財産や想いによって、遺言があったり、特別受益(とくべつじゅえき)という考え方が使われることがあるからです。
2. 「特別受益」ってなに? 〜もらったお小遣いはカウントされる?〜
兄弟のあいだで問題になりやすいのが、「特別受益」です。これは、相続が始まる前に、家や土地、まとまったお金など、他の相続人と比べて明らかに多くの支援を受けていた場合、相続財産を計算するときに考慮しましょう、というルールのこと。
たとえば、
など、大きな金額の場合には「特別受益」にあたる可能性が高いです。
では、「お小遣い多め」に関してはどうでしょうか?
正直なところ、単なるこづかい程度であれば、特別受益に該当しないことが多いと考えられています。ただ、「どの程度の金額か」「どんな目的でもらったのか」によって判断が分かれることもあります。
もし「毎月10万円単位でもらっていた!」「まとまった数百万単位のお祝い金を何度も受け取っていた!」というように、ちょっと普通では考えにくいような金額なら、「特別受益」扱いになる可能性があるかもしれません。
でも、一般的なお小遣い程度なら、「まあ、ちょっとズルいけど…」と思う人がいるかもしれませんが、法律的にはあまり問題にならないことも多いようです。
しかし、それでも「納得できない!」と兄弟が言い出す場合はあるわけで…。ここが揉めごとの種になるのです。
3. 揉めるポイントは「不公平感」と「コミュニケーション不足」
兄弟のうち一方が「うちは親からあんまりお金をもらわなかったのに、あっちは孫の教育費を出してもらっていた!」など、自分だけが損している気分になると、不満が出やすくなります。
とくに、親が元気なうちは「家族みんな仲良くしているから大丈夫」と思いがちですが、いざ相続の話が出ると、今まで言わずにいた不満がどっと噴き出してくることがあります。「あんたが可愛がられすぎ」「うちは全然面倒みてもらってない」などなど…。
そしてもう一つのポイントは、「コミュニケーション不足」です。
「どんな理由で、どのくらいお金をもらっていたのか?」がきちんと兄弟間で共有されていないと、「え、そんなにお金をもらってたの? 聞いてないんだけど…」となり、誤解や疑念を生みやすくなります。
そこに感情的な言い争いが加わると、どんどん話がこじれてしまうんです。
4. 事前にとれる対策は? 〜遺言書の活用と家族会議〜
では、こうした争いを避けるにはどうしたらいいの? という話ですが、一番のポイントは、「親が元気なうちに、財産の分け方をきちんと決めておく」ことに尽きます。
とはいえ、「そんなの言いづらい…」「親に失礼かも…」と遠慮してしまう方も多いでしょう。でも、結果的に話し合いをしないままでいると、兄弟の関係が悪化してしまう危険があるんです。
4-1. 遺言書(いごんしょ)を作成しておく
「遺言書なんて大げさだわ」と思われるかもしれませんが、遺言書があるだけで、相続でもめるリスクはかなり減ります。なぜなら、法定相続分をどうするかに加えて、「実は長男は大学の学費やら何やらで大きな援助を受けていた。だから遺産はこういうふうに分けたい」という被相続人(親)の意思がハッキリ表れるからです。
法的に有効な遺言書にするためには、いくつかルールがありますが、「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」といって、公証役場で公証人に作成を手伝ってもらう方法が安心です。
費用は多少かかりますが、その分「形式ミスで無効になった…」という心配が減ります。万が一、兄弟のあいだで「これは本物なの?」と疑いをかけられにくくなるメリットも大きいですね。
4-2. 家族会議を開いてみる
「親が生きているうちに、わざわざ家族を集めて相続の話なんて重い…」と思うかもしれません。でも、できれば一度は、家族みんなで顔をそろえて話し合う時間をとるのが理想です。
そのときに、もし「うちの子は、おじいちゃん(おばあちゃん)から今までこういう支援を受けていたよ」と率直に話しておくことができれば、他の兄弟が変に勘ぐることも減ります。
逆に、「実はあっちの家ではこんな援助があったんだね」「ああ、実はそうだったのね」と、お互いの状況を知るいい機会になるかもしれません。
もちろん、家族会議といっても、かしこまって行う必要はありません。ちょっとした食事の席で、「もし相続のときに揉めるのは嫌だな〜」という切り口から話を始めてみるといいかもしれませんね。
5. もしも揉めそうになったら…専門家に相談を
事前の対策をしていても、どうしても折り合いがつかない場合はあります。そんなときに頼れるのが、弁護士や司法書士、税理士などの専門家です。
- 弁護士:法律面でのトラブル解決が得意
- 司法書士:相続手続きや登記のサポート、簡易裁判所での代理など
- 税理士:相続税の申告や税金に関する相談
一口に「相続」といっても、登記や税金の問題、法律トラブルなど、いろんな要素がからみます。「ああ、ややこしい! どこに相談していいか分からない…」と思ったら、まずは市区町村の相談窓口や法テラスに連絡して、紹介してもらうのも手です。
6. まとめ ~「お小遣い」は本当にもめる原因?~
今回のテーマ、「お前の子供ばっかり可愛がってお小遣いをたくさんもらっていたんだから、相続分を同じにするなんて納得いかない!」という兄からの不満は、とてもリアルな話ですよね。実際には、お小遣い程度の金額なら「特別受益」にはあたらない場合がほとんどです。だから、法律の上では問題になりにくいんです。
ただ、人の感情というのは法律だけでは割り切れません。ちょっとした金額でも「不公平だ!」と感じる人もいますし、昔からのわだかまりがそこに絡んでくると、余計にこじれてしまいます。
だからこそ、事前の対策として遺言書を作る、兄弟で話し合う、親からの援助をオープンにしておくことが大事なんです。「うちは大丈夫」と思っていても、いざ相続となると「こんなはずじゃ…」というケースは決して珍しくありません。
皆さんも、ぜひ「今のうちに話しておけばよかった…」と後悔しないよう、元気なうちから家族でコミュニケーションをとってみてください。ほんの少し勇気がいりますが、将来の笑顔のための大切な一歩です。
もし、すでに「うちのお兄ちゃんが納得してくれない…」という状況なら、感情だけでぶつかり合わないように気をつけて、専門家に相談することをおすすめします。第三者の意見をはさむだけでも、冷静に話し合いやすくなることがありますよ。
相続で大切なのは、家族の絆をできるだけ守っていくこと。 お金の問題だからこそ、しっかり話し合ってクリアにしていきましょう。長い目で見れば、「あのとき話しておいてよかった!」と、きっとみんなが思えるはずです。
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いかがでしたでしょうか?
「相続」というと、なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、要は**「家族でのコミュニケーション」と「早めの準備」がポイントだということです。今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
また、相続に関する気になるテーマがありましたら、どうぞお気軽にお知らせくださいね!
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