「家のことは次男に任せる」——お父さんの遺言書にそう書いてあったら、あなたならどう受け取りますか?
「じゃあ、家も土地も次男が全部相続するってこと!?」と思う兄や姉がいる一方で、「いやいや、“家の管理”や“住むこと”だけの話じゃないの?」と考える人もいるでしょう。
実は、こうした曖昧な表現が原因で兄弟姉妹のあいだにトラブルが起きるケースは少なくありません。
本来、遺言書は故人の気持ちを形にし、残された家族がスムーズに相続できるよう作るもの。
しかし、書き方がはっきりしていないと、「そもそもお父さんは何を望んでいたの?」と悩むことになってしまいます。
この記事では、そんな遺言トラブルの原因と対処法、そして今後の備え方などを、できるだけやさしい言葉でお話ししたいと思います。
1. 遺言書にはどんなことが書けるの?

遺言書というのは、亡くなった方(被相続人)の「最後の意思表示」を法的に有効な形で残すためのものです。
たとえば、
といったことを書くことができます。
うまく書けていれば、相続の手続きがスムーズに進むことが多いですし、家族のトラブルも起こりにくくなります。
しかし、今回問題になっているように、書き方が曖昧だと解釈の幅が広がり、それぞれの兄弟姉妹が「自分に都合のいいように解釈してしまう」ことがあります。
「家のことは次男に任せる」などの文言は、一見すると分かりやすそうですが、実はとても幅広い意味を持ちかねません。
2. 「家のことは次男に任せる」ってどういう意味?

今回のケースでは、お父さんの遺言書に「家のことは次男に任せる」とだけ書いてあって、肝心の「家の名義を誰にするのか」「財産としてどう分配するのか」といった記載がないようです。
たとえば、「家のことは次男に任せる」という一文だけを見ると、
といったように、まったく違う解釈が生まれます。
どっちとも取れてしまうからこそ、「俺が全部もらう!」「いや、あれはそういう意味じゃない!」と揉めてしまうわけです。
3. 兄弟姉妹で衝突!よくあるパターン

(1) “次男が家を総取りする”と解釈してしまう
次男側(本人やその妻)が「お父さんは家も土地も全部、俺にくれるつもりだったんだ!」と受け取り、他の兄弟姉妹が「あんた、それは都合良すぎない?」と不満を抱くパターン。
(2) “維持管理だけ次男が担当”と考える兄や姉
長男や他の兄弟は、「次男が管理係になるだけで、相続財産としてはみんなで共有するものだ」と思っているケース。
家の名義はどうするのか?費用は誰が負担するのか?が曖昧だと、後々また違う争いに発展する可能性があります。
(3) ほかの遺産との兼ね合い
そもそも不動産だけでなく、現金や株、さらには借金なども含めて相続にはさまざまな要素があります。
「じゃあ、家は次男が相続する代わりに、預金は他の兄弟で分けよう」と話がまとまることもあれば、「家のローンが残ってるけど、それは次男が背負うの?」など、別の問題が浮上することもあるのです。
4. トラブルを避けるためのポイント

実は、こうしたトラブルは「遺言書の書き方が曖昧だった」ことが最大の原因です。
もしご自身が将来、遺言書を書く機会があるなら、以下のポイントを押さえておくと安心です。
(1) 誰にどの財産を相続させるかを、具体的に明記する
「〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地の土地と建物は、次男・〇〇に相続させる」など、物件の所在地や名義を書くと明快です。
(2) “管理権”だけを任せる場合は、その旨をはっきり書く
「この家の管理・維持費の負担などは次男に任せ、所有権は全員で共有とする」というように、「任せる」部分がどこまでなのかをしっかり書きましょう。
(3) ほかの財産や負債も含めてバランスをとる
不動産以外の財産(預金、株式など)があるなら、「家は次男が相続する代わりに、預金は長男と長女で分ける」など、財産全体を見渡して具体的に分け方を書くのがベストです。
5. すでに起きてしまった遺言トラブルの対処法

「うちはもう、お父さんの曖昧な遺言書で兄弟姉妹の意見が大バトル中!」という方へ。
ここからは、今まさに起きているトラブルの解決に向けたヒントをお伝えします。
(1) 家族で話し合い、「お父さんの真意」を考える
まずは、みんなが落ち着いた環境で話し合いましょう。
感情的になると「お前ばっかりズルい!」という気持ちが強くなってしまいがちですが、大切なのは「お父さんは何を望んでいたのか」を考えること。
など、いろんな可能性があります。
お父さんが生前どんなことを話していたか、みんなで思い出を共有する中で、遺言の意図が少し見えてくるかもしれません。
(2) 弁護士や専門家に相談する
それでも意見がまとまらない場合や、相続税や名義変更の手続きが必要になる場合は、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に助けを求めるのも手です。
第三者が入ることで、より冷静に話を進められるようになることもあります。
(3) 家庭裁判所の調停・審判を利用する
話し合いではどうにも折り合いがつかず、どんどん関係がこじれてしまうときは、家庭裁判所の調停や審判手続きを検討してみましょう。
裁判になる前に、調停員の人が仲介役となって話し合いをサポートしてくれます。
(4) 想い出を大切に
最後に、ぜひ思い出してほしいのは、「相続はあくまで家族の生活を引き継ぎ、財産をうまく次の世代へ渡すための手段だ」ということです。
大切なお父さんが残してくれた財産が原因で兄弟姉妹がバラバラになってしまっては、本末転倒ですよね。
ときには一歩引いて、「自分たち家族が、今後どう仲良くやっていけるか」を考えてみるのも大事なステップです。
6. まとめ

「家のことは次男に任せる」という遺言書は、一見シンプルながら、解釈次第で大きなトラブルを引き起こす可能性を秘めています。
こういったポイントを、まずは家族同士で話し合ってみることが大切です。
それでも解決しないときは、専門家や調停の力を借りましょう。
また、これから遺言書を作成する立場になる方は、「曖昧な書き方は残された家族を困らせるかもしれない」と意識しておくと良いでしょう。
具体的に書くのは手間がかかりますが、そのほうが後々のトラブルをグッと減らせます。
司法書士や弁護士、税理士など、相続に詳しい専門家に相談しながら作るという手もあります。
相続は、誰にとってもいつか必ずやってくる家族の大きなイベントです。
でも、そこに潜むトラブルの火種も、ちょっとした心がけや情報収集で小さくすることができます。
兄弟姉妹で集まったときに、少し勇気を出して「お父さんの遺言、どうする?」「私たちが将来もめないように、いまから話し合っておかない?」と声をかけてみるのも、家族にとって大事な一歩かもしれません。
ワンポイントアドバイス
大切なのは、お父さんの財産をどう分けるかだけでなく、「みんなが今後どう仲良くやっていけるか」。
家族の絆を守りつつ、うまく相続を乗り越えるために、曖昧な遺言でも決してあきらめず、話し合いと情報収集を続けていきましょう。
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