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法定相続情報一覧図は相続手続に便利!作った方が銀行や法務局で楽な人は?作り方や使い道

法定相続情報一覧図マニュアル

家族の死後、さまざまな相続手続きが即座に始まります。相続手続きには100種類以上の細かい手続きが含まれ、多くの場合、亡くなった方の戸籍謄本が必要となります。出生から死亡までの詳細な戸籍が求められます。

しかし、戸籍の収集は予想以上に困難で、全てを揃えるのに数ヶ月かかることもあります。これは被相続人名義の預金解約や相続登記に支障を引き起こす可能性があります。また、全ての相続人の戸籍謄本が必要となるため、多数の戸籍を持ち歩いて相続手続きを進めることになります。

これらの負担を軽減するために、「法定相続情報証明制度」が導入されました。この記事では、法定相続情報証明制度の特徴、メリット、デメリットを詳しく解説します。将来の相続に備える方は、ぜひ参考にしてください。

法定相続人を証明できる法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度は、戸籍謄本を収集し、一覧図を作成して法務局で認証する制度です。この制度は2017年5月に始まり、認証済みの一覧図(家系図)だけで法定相続人を証明でき、多くの相続手続きが効率化されます。

戸籍謄本の収集は必要ですが、この制度を利用することで一部の人々の相続手続きの負担が軽減されます。ですので、法定相続情報証明制度の特徴を理解しておくことが重要です。

法定相続情報一覧図が使える手続き

法定相続情報一覧図が役立つ手続きとしては、以下のような場面があります。

  • 被相続人名義の不動産登記や有価証券の名義変更
  • 自動車などの名義変更
  • 預金の払い戻し
  • 相続税の申告
  • 遺族年金、未支給年金などの年金手続き

また、確認が必要ですが、一部の民間会社の保険請求も可能です。

これらの手続きでは、従来は相続関係の証明となる戸籍謄本等を提出する必要がありました。これは一つの手続きで提出し、返却を待った後、また次の手続きで提出するか、手続きの数だけ一式を用意するという煩雑さを伴っていました。これは大きな負担でした。一覧図の提出により、これらの手続きが簡略化できます。

この制度のメリットとデメリットについて説明します。

法定相続情報証明制度のメリット・デメリット

法定相続情報証明制度を利用すると、事務作業が軽減されますが、メリットばかりではないので、その特徴を理解した上で利用を検討することが推奨されます。

法定相続情報証明制度のメリット

法定相続情報証明制度には次のような利点があります。

  • 無料で使用できます
  • 5年間再発行が可能です
  • 登記官によって認証されます
  • 代理申請が可能です
  • 郵送での申請も可能です

法定相続情報証明制度を利用するには、まず戸籍謄本を集めて法定相続人の一覧図を作り、それを法務局に提出します。登記官が戸籍謄本と一覧図を確認し、内容が正確なら法務局に登録します。これにより、相続手続き時に法定相続情報一覧図だけで相続人を証明できます。

都度戸籍を取得することなく、時間や手数料を節約できます。士業による代理申請や郵送での申請も可能なので、忙しい方にとっては大きな利点となります。

法定相続情報証明制度のデメリット

法定相続情報証明制度の利用には、以下のようなデメリットが存在する可能性があります。

  • 一度だけでも戸籍謄本の収集が必須
  • 全てのケースで制度を利用できない

一覧図の作成には一度だけでも戸籍謄本の収集が必要となります。しかし、相続手続きにおいて少なくない戸籍が必要な場合、この制度の利点はあまり大きくないでしょう。さらに、法定相続情報証明制度に対応していない金融機関も存在しますので、利用の際には注意が必要です。

法定相続情報証明制度の活用が向いている人の特徴

法定相続情報証明制度の特徴を整理すると、以下のような方に適しています。

  • 相続財産が多い方
  • 相続人が多い方
  • 仕事が忙しく、手続きに時間が取れない方
  • 相続手続きを早期に完了させたい方

複数の取引銀行がある場合、それぞれで相続手続きが必要になります。これらを同時に進めると、多数の戸籍を準備する必要があります。しかし、法定相続情報一覧図を利用すれば、手間と手数料を節約できます。また、不動産の相続登記にも戸籍謄本が必要なので、相続財産が多い方にとって特に有益な制度です。

時間がない方は、戸籍謄本の収集が難しく、不足があると手続きをやり直す可能性があります。一覧図を事前に作成しておけば、仕事への影響を最小限に抑えられます。さらに、銀行などの事務処理時間も短縮できるので、相続手続きを早く終えたい方にも適しています。

法定相続情報証明制度の手続きの流れ・必要書類

法定相続情報証明制度を利用する場合、手続きは三つのステップに分かれます。
必要書類の詳細も提供しますので、法務局へ提出する前に全てが揃っているかどうかを確認してください。

役所で必要書類を集める

法定相続情報証明制度の準備を始めるためには、必要な書類の整理から始めます。これには数カ月かかる場合もありますので、余裕を持って計画することが重要です。

以下に必要な書類を示します:

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍および除籍謄本、改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票
  • 各相続人の現在の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 申出人の住所氏名を確認できる公的書類(運転免許証やマイナンバーカードなどのコピー)

被相続人の戸籍謄本や住民票の除票は、本籍地の市役所で取得します。本籍地や筆頭者が不明な場合は、先に住民票を取得すれば、本籍地なども分かります。本籍地が遠い場合は、郵送による請求も可能です。そのため、各自治体のウェブサイトから担当部署や請求方法を確認しておくと良いでしょう。

また、仕事等で時間が取れない場合は、弁護士や司法書士、行政書士に依頼することも可能です。

追加書類が必要になるケース

以下の書類が追加で必要になる場合があります。

  • 各相続人の住民票の写し(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)
  • 委任状および戸籍謄本(親族が代理人となる場合、申出人と代理人の関係がわかる戸籍謄本が必要)
  • 資格者代理人の身分証明書の写し(各団体が指定する身分証明書)
  • 被相続人の戸籍の附票(住民票の除票が廃棄されて取得できない場合)

委任状に記載漏れや記載ミスがないよう、法務局指定の様式を使用することを推奨します。法務局のホームページには記載例も掲載されています。

委任状の様式・記載例(法務局)

法定相続情報一覧図を作成する

戸籍謄本等がすべて揃ったら、法定相続情報一覧図を作成します。

これは家系図のようなもので、様式や記載例は法務局のホームページからダウンロード可能です。配偶者と子供が相続人になる一般的な相続パターンや、代襲相続に対応したパターンも用意されているので、該当するファイルをダウンロードして使用します。

一覧図を作成する際は、印刷した用紙に書き込むことも、直接エクセルファイルに入力することも可能です。ただし、作成前に誰が相続人になるのかを整理しておくことが重要です。また、相続人の住所を記載するかどうかは任意ですが、記載していれば相続登記などの手続きで各相続人の住民票が不要になる可能性があります。

法定相続情報一覧図の様式と記載例(法務局)

法務局へ申出する

法定相続情報一覧図の作成が完了したら、必要な書類を準備し、法務局または登記所に申請します。

申請には「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申請書」が必要です。これは法務局のホームページからダウンロードできます。記入例が提供されているので、提出前に内容の確認をお勧めします。

時間が限られている場合は、郵送での申請も可能です。ただし、認証済みの一覧図が後日交付され、戸籍謄本なども返却されますので、返信用の封筒と郵便切手を忘れずに同封してください。また、管轄の法務局(登記所)の情報は法務局のホームページで確認できます。郵送する際は、住所などを確認しておいてください。

一覧図の保管及び交付の申請書(法務局)

管轄法務局(法務局)

法定相続情報一覧図作成時の注意点

相続手続きにおいて、法定相続情報一覧図を多くの場合利用できますが、全ての相続手続きで利用できるわけではないため、注意が必要です。

法定相続情報一覧図の記載内容についても、手続きにより注意が必要な場合があります。

例えば、相続税の申告に一覧図を利用する場合、子が実子か養子かを明示する必要があります。したがって、「子」とだけ記載するのではなく、「長男、長女、養子」などと具体的に記載する必要があります。

また、相続放棄をした相続人がいた場合でも、その事実は戸籍等の書類では確認できないため、一覧図には相続人として記載する必要があります。

法定相続情報証明制度を利用する場合、全国どの法務局の登記所でも利用できるわけではありません。被相続人の本籍地や最後の住所地、利用者の住所地などを管轄する登記所で、手続きを行う必要があります。

法定相続情報証明書の交付を早くするコツ

法定相続情報証明書を法務局に申請した場合、最速で申請日の翌日に一覧図が交付されますが、通常は約一週間程度かかります。法務局の混雑状況により異なりますが、急ぎの相続手続きが必要な場合、早期に取得したいと思うこともあるでしょう。

もし、法定相続情報一覧図を少しでも早く入手したい場合は、以下のアドバイスを参考にしてみてください。

相続を意識した準備をしておく

亡くなった方の戸籍謄本を取得する手続きは一度に完了することが難しく、生前から情報を共有しておくことが重要です。本籍地や転籍の状況を相続人が理解しておくと良いでしょう。例えば、「父親の本籍地は知っているが、母親の本籍地は不明」という状況はよくあります。また、転居が多い人の場合、転籍手続きが必要となり、行政手続きをスムーズに進めることができます。

相続人が複数いる場合、各相続人の現在の戸籍も必要となります。しかし、全員が同時に準備を進めてくれるとは限らないので、郵送による請求にすぐに対応してもらえない場合もあります。遅延が本人に影響を与えることを伝えておくことが重要です。

さらに、改正原戸籍を取り寄せる場合、内容を理解するのが難しい場合もあります。戸籍の読み解きには専門知識が必要なため、必要に応じて専門家に依頼することも考慮してください。

専門家へ申出を依頼する

法定相続情報証明制度を利用する際には、戸籍謄本の収集段階から専門家の依頼を考えてみてください。時間の余裕がある方でも、戸籍の収集に難航することがありますし、全て揃っても初心者が相続人を確定するのは困難な場合があります。

依頼できる専門家は弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士などがいます。無料の相談を活用し、相続手続き全般に精通している専門家を選んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

相続手続きを開始した後、すべてが終わったと思ったら、予期せぬ預金通帳や不動産が見つかることがあります。そのような場合、以前の手続きで使用した戸籍謄本があれば便利ですが、紛失や廃棄した場合は再度役所から取り寄せる必要があります。

しかし、法定相続情報証明制度を利用すれば、5年間は証明書を無料で発行し、戸籍取得の手間や費用を削減できます。これは特に頻繁に相続手続きを行う人にメリットがあります。ただし、戸籍謄本の収集は大変で、最初に自分で戸籍を集める必要があるため、自信がない方や忙しい方は相続の専門家に依頼することを推奨します。

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