PR

家業の会社を継ぐ跡取り息子のために、相続の時の代償金の対策をしてあげたい!どうしたらいい?

「うちの家業は長男が継ぐって決まってるけど、ほかの子にも不公平にならないようにしたい…」。そんなお悩み、ありませんか?

昔から「長男が家業を継ぐ」のはごく自然な流れかもしれませんが、いざ相続が発生したときに、ほかのご兄弟との間で「財産の分け方」に関するトラブルが起こるケースも珍しくありません。

特に会社を引き継ぐ場合には、「会社の株式」や「経営権」などを集中して長男に渡す一方、ほかのご兄弟には十分な遺産が行き渡らないことも。そのときに問題となるのが「代償金(だいしょうきん)」です。

今回は、「会社を継ぐ息子さんのために代償金対策をきちんと整えたい」という方に向けて、できるだけやさしく・わかりやすくポイントを解説していきます。


そもそも「代償金」って何?

相続で財産を分けるとき、「長男は会社の株式をすべて相続する」「次男や三男はその分がなくなるから、何か別の形で補填してほしい」という話になることがあるかもしれません。

そんなとき、長男が会社を相続することで多くの財産を手にする分、代わりに次男や三男へお金を支払って差を埋めるのが「代償金」です。

これは相続財産の不公平をなるべく減らす目的で用いられます。

たとえば、相続する遺産が

  • 家業の会社の株式(評価額:3,000万円)
  • 自宅不動産(評価額:1,000万円)
  • 現金(500万円)

の合計4,500万円だったとしましょう。長男が会社を丸ごと受け取ると、それだけで3,000万円の価値があるわけです。

一方、次男や三男がもらえる遺産は、残り1,500万円分となります。

ここで、「いやいや、長男だけずいぶん得してない?」という不満が出るかもしれませんよね。


そこで、「長男が受け取った3,000万円の価値と、兄弟が受け取る財産のバランスを何とか取ろう」とする仕組みとして、長男が兄弟に支払う“お金”のことを「代償金」と呼ぶのです。


代償金が必要となる理由

会社の株式のように、「分割しにくい財産」を相続するときに、しばしば使われる方法です。

  • 株式は割って分配できない(※実際には株数を分けることはあっても、経営のコントロールや議決権の兼ね合いで実質的に分割しづらい)
  • 家を何等分に割って共有するのは住みづらい、管理が大変
  • 事業用の資産は分割した結果、経営に支障が出るおそれがある

こうした場合、「いっそまとめて特定の相続人が受け取ったほうがいいけど、そのままだと不公平だよね。だったらお金で調整しよう」となるのが代償金の発想です。


気をつけたい!代償金が招くトラブル

代償金の制度は、「大事な会社をスムーズに継ぐ」ためにはとても役立ちます。一方で、気をつけるポイントを知らずにやるとトラブルになることも。

支払い資金の準備ができない


「長男が兄弟に代償金を払う」と言っても、そのお金をどこから用意するの?

会社の業績が不安定だったり、個人にまとまった現金がなかったりすると、せっかく話し合いで『代償金を払う』と決めても支払えず、気まずい関係になりかねません。

金額の算定方法でモメる


株式や不動産など、評価額をどうするかで意見が割れることがあります。「この株式はほんとうに3,000万円の価値があるのか」「この家はもっと安いんじゃないか」など、評価に不満をもつ人が出るとスムーズに進みません。

後から「やっぱり不満だ」と言われる


一度は「代償金を受け取る」ことで同意してくれていた兄弟が、後から「こんなに業績が伸びるならもっと欲しかった」「実は隠し財産があるんじゃないの」など、新たな不満を抱くケースもあります。


「事前に知っておきたい」代償金対策のポイント

そうはいっても、「息子に家業を継がせたい」という思いは大切ですし、それを納得してもらうためにも兄弟間の不公平は避けたいですよね。

では、どんな方法でうまく代償金を準備しておけばいいのでしょうか?

1. 生前贈与で早めに財産を分配する

生前贈与とは、まだご自身が元気なうちに、子どもたちにお金や財産を渡しておくことです。

相続のときに一気に分けるよりも、あらかじめ「これは長男の分」「これは次男や三男の分」などと計画的に振り分けやすいメリットがあります。

ただし、生前贈与にも贈与税がかかる可能性があるため、税金面の確認は必要です。

「年間110万円までは贈与税がかからない非課税枠がある」など、活用できる制度もありますので、税理士さんなど専門家に相談しながら進めるのが安心です。

2. 生命保険を活用する

よく使われる方法のひとつが「生命保険で代償金の支払い原資を確保しておく」というもの。

たとえば、被保険者をご自身(親御さん)にして、受取人を「会社を継ぐ予定の長男」以外の子どもにしておくなどの工夫をすることで、遺産分割に使えるお金を保険金として用意することができます。

保険金は「受取人固有の財産」となり、遺産そのものではないので分割をめぐる争いが起きにくいという面も。

結果的に、長男に会社を引き継ぎやすくしながら、ほかの兄弟にも十分な財産を残せる可能性があります。

生命保険の死亡保険金は、遺産に含まれない

判例:最高裁判所平成16年10月29日決定

3. 遺言書で明確にしておく

遺産分割の方針や代償金の金額、支払方法などを「遺言書」にしっかり記載しておくことも大切です。

  • 誰がどんな財産を受け取るのか
  • 代償金を払う場合は、いくら支払うのか
  • 支払う期日や方法はどうするのか

こうした内容を、法的に有効な形式で書面に残すことで、「口約束だったから知らない」といった揉め事を避けられます。

公正証書遺言で作成しておくと、偽造・紛失のリスクも減らせて安心です。

4. 家族会議で納得感を高める

相続におけるトラブルの多くは、「本人(親)の気持ちが家族全員に伝わっていなかった」ことが原因である場合が少なくありません。

「会社は長男に任せたい」「ほかの兄弟にもできるだけ不満を感じさせたくない」という思いを、ご家族全員が納得できる形で共有するためにも、早めの家族会議は重要です。

専門家を交えて話し合うのも良い方法です。


代償金の資金準備は“スムーズな事業承継”へのカギ

会社を継ぐために必要な手続きを整えておかないと、相続時に家族間の対立が起きてしまうこともあります。

特に、「長男が会社を相続する」というケースでは、そのバランスをとるための“代償金”をどうやって準備するかが、大きなポイントになるのです。

  • 生前贈与:生きているうちに少しずつ贈与し、まとめて贈与税がかからないよう工夫する
  • 生命保険:保険金で兄弟への補填資金を用意する
  • 遺言書:分割内容と金額・支払方法を具体的に示す
  • 家族会議:お互いの気持ちを確認し、納得できる形を探す

こうした対策を取ることで、いざ相続が発生したときに「どうしよう?」と慌てなくて済むはずです。ご自身が元気なうちに、「いつかはやらなきゃな」と頭の片隅で考えているうちに、まずは気軽に家族と話し合うのも手ですよね。


まとめ

会社を継ぐ息子さんのために、代償金の準備や方法を整えておくことは、ご家族みんなの安心にもつながる大事なポイントです。

「長男だけ優遇されてる」「自分だけ損してる」と感じる人がいないよう、事前に手を打っておくことで、相続のときに円満なかたちでバトンを渡せるでしょう。

  • 不公平感をなくし、家族みんながハッピー
  • 会社の事業をスムーズに継げる
  • 相続税や贈与税の負担を軽減できる場合もある

まずは身近な家族との会話から始めてみてください。そして、具体的にどう動けばいいかわからない場合は、税理士や弁護士、司法書士といった専門家に相談するとスムーズです。


「うちはまだまだ先の話よ」と思っているうちに、思わぬ形で相続が発生してしまうこともあるのが人生の常。いざというときに家族の仲を壊さず、愛する息子さんがきちんと家業を盛り立てていけるように、今から少しずつ準備をしてみましょう。

「備えあれば憂いなし」。ちょっとした心づもりが、将来の家族みんなの笑顔につながりますよ。

コメント