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相続放棄の申述が却下されることってあるの?相続放棄申述が受理されない理由

「家庭裁判所に相続放棄の申述を出しても、本当に受理されるのかな…?」
そんな不安を抱える方もいらっしゃるかもしれません。

原則としては、相続放棄の申述に欠陥がなければ、家庭裁判所はこれを受理すべきとされています。
しかし、もし要件を満たしていないことが明らかであれば、申述が却下される可能性があります。


相続人が申述していない場合

相続放棄の申し立ては、相続人本人または弁護士・司法書士などの専門家が、正しい手順で行う必要があります。
もし他人が勝手に相続人になりすまして手続きをすると、本人の意思に反して財産を放棄させられることになってしまうため、家庭裁判所は「本当に相続人本人の意思で申し立てられたか?」をしっかり確認します。

未成年者が相続人の場合は?

法律で「未成年者は自分で相続放棄ができない」と決まっています。
そのため、親権者が代理人として手続きをする必要があります。
要するに、未成年の子どもが相続人になった場合は、子ども自身が直接「相続放棄したいです」と申し立てるのではなく、親権者が子どもに代わって手続きを行うのがルールです。


まとめ

未成年者が相続人になっているときは、親権者が代理で申立てを行う必要があります。

相続放棄は、本人もしくは専門家による正式な手続きが原則です。

ほかの人がなりすましで申請しないよう、家庭裁判所は「申述が本人の意思に基づくものか」を厳重にチェックします。

親子ともに相続人の場合の「利益相反」に注意!

親が自分の相続放棄をしたあと、親権者として子どもの相続放棄を申し立てることができます。

  • たとえば、「子どもにも借金を背負わせたくない」という場合など、親が代理で子どもの相続放棄の手続きを進められます。
  • 手続きの流れ:
    1. 親自身が相続放棄の申し立てを行う。
    2. その後、親が子どもの“親権者代理人”として、子どもの相続放棄の申し立てを行う。

ここに問題はありません。


親が相続し、子どもが相続放棄する場合

この場合は注意が必要です。
親が相続する一方で、子どもが相続放棄をしたいとなると、子どもが不利になる(利益相反が起きる)可能性があるため、親は子どもの代理人になれません。

  • たとえば、財産に借金があって「子どもに負債を背負わせたくない」という理由があっても、親は代理人にはなれないルールです。
  • 法律上、形式的に「親と子で利益が対立する可能性がある」とみなされるからです。

特別代理人の選任

こんなふうに、親と子どもの利害(利益)が対立する恐れがある場合には、家庭裁判所に「特別代理人の選任審判申立て」を行います。

  • 特別代理人とは、子どもの権利を守るために代理で手続きをしてくれる人。
  • 親以外の第三者が選ばれ、子どもの相続放棄を進めることになります。

まとめ

  • 親子が両方とも相続放棄をする場合: 親が自分の相続放棄をしたあとに、子どもの相続放棄を代理人として申し立ててOK。
  • 親が相続し、子どもが相続放棄する場合: 子どもに不利益が及ぶ恐れがある=「利益相反」と判断されるので、親は代理人になれない。家庭裁判所に特別代理人を選んでもらう必要がある

相続にはこうした細かいルールがあるため、「うちはどうなる?」と迷ったときは、ぜひ専門家に相談してみましょう。

相続放棄申述が熟慮期間を超えている場合

相続放棄の手続きは、「自分が相続人になったことを知ったとき」から数えて3ヵ月以内に行わなければならないというルールがあります。
ここでいう「知ったとき」とは、次の2つの条件が揃ったときを指します。

  1. 相続が始まった(被相続人が亡くなった)という事実を知ったとき
  2. 自分が相続人になったという事実を知ったとき

原則として、「法律を知らなかった」は通用しない

法律の知識がなくて、「3ヵ月ルールを知らなかった…」という場合でも、原則として熟慮期間の延長は認められません

  • たとえば、被相続人の死亡を知った日から3ヵ月以内に申し立てをすれば、熟慮期間について問題になることはまずありません。

3ヵ月を過ぎてから借金が発覚したら?

もし、3ヵ月の期限を過ぎた後に「被相続人が借金を抱えていた」とわかった場合は、家庭裁判所に特別な事情を説明する必要があります。

  • 裁判所が納得できる理由があれば、相続放棄の申述を受け付けてくれる可能性はあります。
  • しかし、仮に受理されても、債権者がその相続放棄の効力を争ってくるリスクもゼロではありません(過去の判例でも、そうしたケースが散見されます)。

まとめ

  • 相続放棄は3ヵ月以内が鉄則。
  • 「相続が始まったこと」+「自分が相続人であること」を知った日からカウントスタート。
  • 期限を過ぎてから借金が見つかったら、やむを得ない事情を裁判所に説明しないと申述は認められない。
  • たとえ裁判所が受理してくれても、債権者が効力を争う可能性がある。

もし3ヵ月を過ぎてしまっていて焦っているなら、専門家(弁護士や司法書士など)に相談して、どういった事情が認められる可能性があるか確認するのがベストです。

必要書類が不足している場合

相続放棄の申述には、戸籍謄本など必要書類がいろいろと必要です。
もし書類が足りないまま申し立てをしても、家庭裁判所は受理してくれません

戸籍の収集が大変な理由

  • 一ヵ所の役所ですべて請求できるとは限らない
    たとえば、被相続人(故人)が昔住んでいた場所や引っ越し先などに応じて、複数の役所を回る必要があります。
  • 追加で必要な戸籍が見つかるケースも多い
    「この戸籍で足りると思ったら、さらに別の戸籍を取り寄せないといけない…」ということは、珍しくありません。

なれないと骨の折れる作業

普段はあまり戸籍謄本を取り寄せる機会ってないですよね。

  • どの役所で何が必要なのか
  • どういうつながりを証明するための書類なのか
    こういったことを考えながら進めるのは、正直手間がかかります。

時間に余裕を持って取り組むのがおすすめ

「3ヵ月以内」に相続放棄を申し立てる場合でも、戸籍をそろえるのにけっこう時間がかかることがあります。
途中で書類が足りないことに気づいて慌てないよう、早めの着手が大切です。


まとめ

  • 必要書類(戸籍等)の不足は申し立て不受理の原因
  • 戸籍収集は意外と手間も時間もかかる
  • 期限がある手続きなので、早めに調べて動くのがベスト

もし「自分で集めるのが大変…」という場合は、専門家(弁護士や司法書士など)に依頼することも検討してみましょう。

相続人が相続財産の一部でも処分してしまうと…

相続放棄を考えている場合、**「単純承認」**とみなされる行為は絶対にしてはいけません。
たとえば、以下のような行為が典型的なNG例として挙げられます。

  1. 預貯金の解約・払戻
  2. 携帯電話などの名義変更や解約
  3. 不動産や動産の名義変更
  4. 遺産分割協議を行い、合意してしまう
  5. 遺産の自社株を使って議決権を行使する(株主総会への参加など)

これらは一部の例にすぎず、ほかにも「単純承認」とみなされる行為が存在します。
「相続放棄しようと思っていたのに、気づかずに単純承認事由に該当することをやってしまった…」ということにならないよう、事前に専門家へご相談いただくのが安心です。

もし相続放棄を検討されている場合は、家庭裁判所へ申述手続きを行うまで、安易に遺産を動かさないようご注意くださいね。所へ申し立て認められた場合でも、後に単純承認事由とみられる行為が発覚した場合は相続放棄が認められなく場合もございますので、注意しなくてはいけません。

却下された場合の対処法(即時抗告)

相続放棄の申し立てが却下されてしまったら、「2週間以内」に高等裁判所へ即時抗告という手続きを行うことで、再度審理してもらえる可能性があります。

ただし、裁判所が却下した理由をしっかり把握せずに即時抗告だけしても、認められる確率はかなり低いです。
なぜ受け付けられなかったのかをよく調べ、過去の判例や裁判所の見解を踏まえて対応策を考えることが大切です。

また、相続放棄に関する裁判例は多岐にわたり、裁判所によって見解が分かれることもしばしばあります。こうした複雑さもあるため、不安な方は弁護士や司法書士などの専門家に相談し、丁寧に進めるのがおすすめです。

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