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【相続税申告マニュアル】申告の流れ・申告書の書き方・必要書類・相続税計算方法など、実用的な情報を網羅

相続税申告マニュアル

相続が発生した時に直面するのが「相続税申告」です。
しかし、どのように準備を進め、どの書類が必要になるのか、計算方法は?
さらに自分で申告することは可能なのか、それとも専門の税理士に依頼すべきなのか、といった疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

本記事では、そんな相続税申告に関する一連の流れから、申告書の書き方、必要な書類、計算方法に至るまで、実用的な情報を網羅的に解説します。

また、相続税申告を自分で行うケースと税理士に依頼するべきケースについても分析。

とまとちゃん
とまとちゃん

複雑で難しい税金の問題!
この記事で相続税申告の不安を解消しましょう。

Contents
  1. 相続税の申告の基礎知識
  2. 相続財産の調査方法・相続財産の評価方法
  3. 相続税の申告は自分でできるのか?税理士に任せた方がいいケースは?
  4. 申告に必要な書類一覧
  5. 相続税申告の手続き方法
  6. 相続税の計算方法
  7. 相続税対策と節税方法
  8. 税理士に相続税申告の依頼をしたらしてくれること・頼むメリットや費用

相続税の申告の基礎知識

申告とは、相続による遺産の取得に対して課税される税金を税務署に申告することを指します。
遺言書によって継承される財産も相続財産となり、相続税の課税対象とされるため、申告が必要です。

住民税や固定資産税とは異なり、国は自動的に納税金額を決定して通知するわけではありません。
自身で財産調査を行い、税金を計算し、納税金額を算出して、その金額を納税することになります。
相続税の申告についての基礎的な内容は以下の通りです。

相続税申告がいらないケース

  • 相続する財産(遺産)が3,000万円以下になるケース
  • 相続する財産(遺産)が基礎控除以下になるケース
  • 基礎控除以外の各種控除を適用し、税額0円になるケース

基礎控除の計算方法

基礎控除の計算方法: 3,000万円+(600万円×法定相続人数)

この金額は、相続税がかからない最低額です。
つまり、この金額以下なら、税金申告は必要ありません。

  • 相続人が3人の場合:4,800万円
      3,000万円+(600万円×3人=1,800万円)
  • 相続人が5人の場合:6,000万円
      3,000万円+(600万円×5人=3,000万円)

相続人が決まったら、最初に相続したお金が最低額を超えているか確認してください。
それ以上なら、税金申告が必要になります。

また、配偶者への特例制度があります。
これを使うと、税金がなくても申告が必要です。覚えておきましょう。

相続税の申告期限

被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に相続税を申告する必要があります。

もし期限を過ぎると、相続税を減らす特例が使えなくなります。
また、遅れると追加の税金を払う必要が出てきます。

期限が週末や祝日の場合

期限が土曜日・日曜日・祝日の場合、次の日が新しい期限になります。

相続税申告の期限は延ばせません

相続税の申告期限は基本的に延ばせません。
遺産分割の話し合いがまだ終わっていないという理由で延長することはできません。
期限を延ばせるのは、例えば、大きな災害があった場合など特別な事情がある場合だけです。

相続の流れと必要な手続き

相続財産の調査方法・相続財産の評価方法

相続税の申告の重要なポイントは「相続財産の調査」と「相続財産の評価」です。

相続財産の調べ方

遺産申告は、ルールに従って正確に計算する必要があります。
自分で決めるのではなく、相続税法でどの財産が課税対象かを確認します。
「課税対象の相続財産」を漏らして、本来の遺産額よりも少なく申告すると、追加の税金が発生する可能性があるので注意が必要です。

  1. 不動産の調査方法
  2. 預貯金の調査方法
  3. 上場株式・国債・投資信託の調査方法
  4. 生命保険の調査方法
  5. 借金の調べ方

相続財産の価値の出し方

相続財産は国税庁のルールに基づいて評価します。
以下は、主な財産の評価方法です。これを使って、遺産の「だいたいの税額」を計算してみてください。

相続財産の評価は、土地や建物、お金、預金、株などにより、評価方法は色々あります。
さらに、減らす要素や控除・特例も沢山あって、評価はとても難しいのです。
間違った評価をして税金を少なく申告した場合、後で税務調査が入り罰金がかかることもあります。

とまとちゃん
とまとちゃん

素人がネットや書籍で調べた知識で太刀打ちできるのか非常に不安な部分です。
相続財産に不動産がある場合は特に要注意。
ここではだいたいの目安だけ掴んでもらって、具体的な数字については税理士さんに相談するのを強くお勧めします!

びーるくん
びーるくん

自分で手続きできそうな人でも、相続財産の調査があらかた完了した時点で、財産資料を持って税理士さんに一度相談に行ってアドバイスをもらうのがいいですね。

近所の税理士を探している方はコチラ

「相続財産評価」に関する税務相談です。「相続財産評価」に関する相談に税理士が無料で回答しています。「生前贈与を受けた土地の持ち戻しの価額について」や「土地売却に伴う相続税控除について」のような「相続財産評価」に関係する税務相談を集めました。

税理士ドットコム

ご紹介している財産の他にも賃貸アパート、農地、車、死亡退職金、非上場株式など様々な相続財産があります。
評価方法は国税庁が発表している財産評価基本通達に記載されていますので、必要があればご確認ください。

財産評価:国税庁

自宅の土地を評価する方法

自宅の土地の価値を調べる方法は、自宅がどこにあるかによります。

路線価地域にある場合は路線価方式を使います。

路線価方式は、国税庁の路線価図に書かれている1㎡あたりの価格に土地の大きさと補正率をかける方法です。

【計算の方法】
路線価×補正率×土地の大きさ(㎡)

倍率地域にある場合は倍率方式を使います。

倍率方式は、土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかける方法です。

【計算の方法】
固定資産税評価額×倍率

自宅がどちらの地域にあるかは、国税庁のウェブサイトの路線価図・評価倍率表から調べられます。

土地の価格評価には、奥行き価格の補正や側方加算などの補正が考慮されます。

これらは、上記の公式で計算された金額から加算されるか減算される点を理解しましょう。

自宅の価値の計算方法

自宅の価値は、固定資産税の評価額そのままです。

預貯金の価値の計算方法

預貯金は、死亡日の残高とその日までの利息の合計です。
定期預金の場合は利息も確認してください。銀行に頼めば、残高証明書を作ってもらえます。

外貨預金の評価方法

外貨預金は、「円」に換算して計算します。
換算レートは死亡日の最終TTB(対顧客電信買)を使います。

投資信託の価値の計算方法

投資信託は種類によって計算方法が違います。

【一般投資信託】
基準価額×口数+未収分配金-税金-信託財産留保額や解約手数料

【日々決済型投資信託】
基準価額×口数-税金-信託財産留保額や解約手数料

【上場投資信託】
基準価額×口数

上場株式の価値の計算方法

上場株式の基準価格は以下の4つの価格の中から最も安いものです。

  • 死亡日の最終価格
  • 死亡日の月の最終価格の平均
  • 死亡日の前月の最終価格の平均
  • 死亡日の前々月の最終価格の平均

そして、この基準価額と株数の積が株式の価値となります。

死亡保険金の計算方法

相続人がもらう死亡保険金の計算方法は以下の通りです。

もらった死亡保険金の額 – 500万円×法定相続人の数

この計算からわかるように、相続人がもらう生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

債務と葬式費用の計算方法

債務と葬式費用は、相続財産の総額から引くことができます。ただし、すべてを引けるわけではなく、一部のものしか引けませんので、注意が必要です。

非課税財産とは

以下は、相続税がかからない主な財産です。

  • 日々の礼拝で使われる墓地、墓石、仏壇等
    ただし、価値が高く投資対象や商品として所有しているものは除く。
  • 宗教、慈善、学術のような公益を目的とする事業を行う個人が相続や遺贈で得た財産。
    公益目的で使われることが確定しているもの。
  • 精神や身体に障害のある人、またはその人を扶養する人が取得する給付金を受ける権利。
    地方公共団体の条例によるもの。
  • 生命保険金等
    法定相続人の数と500万円を掛けた金額まで。
  • 退職手当金等
    法定相続人の数と500万円を掛けた金額まで。
  • 個人経営の幼稚園の事業に使われていた財産。
    ただし、相続人が引き続きその幼稚園を経営することが条件。
  • 相続や遺贈で得た財産で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産として寄附したもの。

相続税がかからない財産:国税庁

相続税の申告は自分でできるのか?税理士に任せた方がいいケースは?

自分でできるケース

  • 遺産が少ない(5,000万円以下)場合
  • 土地を相続していない場合

ただし、「書き方や計算を間違えるかもしれない」や「税務署から調査されるかもしれない」という心配があるかもしれません。
遺産が少なければ税金も少ないので、間違えても、追加で払う税金も少ないはずですので、挑戦してみてもいいかもしれません。

税理士に頼むべきケース

  • 遺産が多い(1億円以上)場合
  • 土地を相続する場合

特に、複数の土地を相続する場合は、それぞれの土地の価値を調べるのが難しく時間がかかります。
また、土地の形や使い方によっては、税金が少なくなるかもしれません。

これらを間違えると、必要以上の税金を払うことになります。

不安がある人は、税理士に相談することをおすすめします。

財務省が発表した統計「令和3事務年度国税庁実績評価書」によると、実際に相続税申告を行った人のうち86.1%の方が税理士に依頼しています。

自分で相続税申告を行う人はかなりの少数派です。

申告に必要な書類一覧

相続税の申告には、いくつかの書類が必要です。

基本的な書類

シンプルな申告をする場合、以下の書類が必要です。

  • 戸籍の謄本
    相続開始日から10日以降に作成されたものが必要です。養子がいる場合、その戸籍も必要です。
  • 遺言書か遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)

配偶者控除を受けるための書類

配偶者控除を受けるためには以下の書類が必要です。

  1. 相続人を示す戸籍の謄本(相続開始から10日後以降のもの)
  2. 遺言書または遺産分割協議書のコピー
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 3年以内の分割見込書(分割が期限内にできない場合)

小規模宅地等の特例を受けるための書類

家の土地等を相続する場合の特例を受けるためには、以下の書類が必要です。

  1. 相続人を示す戸籍の謄本(相続開始から10日後以降のもの)
  2. 遺言書または遺産分割協議書のコピー
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 3年以内の分割見込書(分割が期限内にできない場合)
  5. 特定居住用宅地等の場合は、以下のものが必要です。
    1. 住民票のコピーなど(特例の適用を受ける人がマイナンバーを持っている場合は不要)
    2. 戸籍の附票のコピーなど(特例の適用を受ける人がマイナンバーを持っている場合は不要)
    3. 家屋の登記簿謄本・借家の賃貸借契約書など

相続税申告の手続き方法

申告書を書くときのポイントやよくある間違いを説明します。
ステップごとに確認しながら進めてください。
申告書を書く時は、以下の順番に従ってください

  • 第9表(生命保険金等)
  • 第10表(退職手当金等)
  • 第11表の付表(小規模宅地等)
  • 第11の2表(相続時精算課税財産等)
  • 第11表(相続税が発生する財産)
  • 第12表(納税猶予の適用を受ける特例農地等)
  • 第13表(債務及び葬式費用)
  • 第14表(純資産価額に加算される暦年課税)
  • 第15表(相続財産の種類別価額表)
  • 第1表(相続税の申告書)
  • 第2表(相続税の総額の計算書)
  • 第3表(財産を取得した人の中で農業相続人がいる場合の各人の算出税額の計算書)
  • 第4表(相続税額の加算金額等)
  • 第5表(配偶者の税額軽減額の計算書)
  • 第6表(未成年者控除額・障害者控除額の計算書)
  • 第7表(相次相続控除額の計算書)
  • 第8表(外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書)

ステップ1:財産を把握(第9〜15表)

最初に、相続する財産をすべて知ることが大切です。
預金や土地、生命保険金、貴金属などが相続の対象になります。

借金がある場合は、それも財産として考えます。

これらをすべてリストにし、金額や評価額を出し、誰が相続するのかを決めて、記入しましょう。

第9表 生命保険金詳細

亡くなった人の生命保険金の受け取り額を書きます。相続を放棄した人や、相続権を失った人の情報は不要です。

生命保険金は、「500万円×相続人数」までは税金がかからないので、その分を引いて申告します。

第10表 退職金等詳細

亡くなった人の退職金や功労金などの受け取り額を書きます。相続を放棄した人や、相続権を失った人の情報は不要です。

退職金等は、「500万円×相続人数」までは税金がかからないので、その分を引いて申告します。

第11表の付表 特定資産税価格詳細

家や事業用の土地、山林、非上場会社の株などを相続した場合、税金が減る特例があります。

この特例を受けるため、相続人や評価額などをこの表に書きます。

特に、「小規模宅地等の特例」は、亡くなった人が住んでいた家の土地を相続するときに適用され、多くの人が該当します。

忘れずに申告しましょう。

第11の2表 生前贈与の詳細と贈与税控除の計算

相続時精算課税」は、60歳以上の親や祖父母が20歳以上の子どもや孫に財産を贈るときの特例です。2,500万円まで贈与税がかかりません。

しかし、贈与した人が亡くなった場合、贈与された子どもや孫は、その金額を相続財産に足して、相続税を支払います。

この特例を使った場合は、この表を記入してください。

第11表 相続税に関する財産の詳細

相続税がかかる遺産を、誰がいくら相続したか書きます。家財も書いてください。

第12表 農地の税金支払い延期の詳細

農地を相続し、農業を続ける人は、相続税の支払いを延期できます。
土地を売らないようにするための制度です。
この制度を使うためには、誰がどの農地を相続し、その価値がいくらか書く必要があります。
複数人が相続する場合は、一人一人について書いてください。

第13表 借金と葬式費用の詳細

遺産から借金と葬式費用を引きます。
残った金額に相続税がかかるので、借金と葬式の出費をリストにします。
しかし、初七日や四十九日の法要、香典返し、墓地の費用は引けません。
これらはリストに書かないでください。

第14表 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額等

相続する前の3年間にもらった贈り物も税金がかかります。
これに該当する人は、この表も記入してください。

第15表 相続財産の種類別価額表

ここでは、第11表〜14表の内容をまとめます。

ステップ2:相続税を計算(第1〜2表)

相続税がかかる財産をリストにし、その価値を評価したら、税金を計算します。

第1表:相続税の申告書

これが一番大切な、相続税の申告書本体です。

提出用の申告書と、自分用の控えの申告書があります。さらに、次の付表1〜5もあります。

  • 付表1:納税義務等の詳細(兼相続人の代表者の指定も)
  • 付表2:税金の返金場所
  • 付表3:受益者がいない信託等の相続税計算
  • 付表4:法人や社団等の相続税計算
  • 付表5:特定の社団法人等の相続税計算

ステップ1で書いたことを基に、申告書に記入していきます。

付表は、該当する場合だけ記入してください。

必要ない場合、提出は不要です。

第2表 相続税の計算書

誰がどれだけ相続し、どれだけの相続税を払うかを計算する表です。下部には税率が一目でわかる「相続税の速算表」があります。

第3表 農業の相続についての計算書

被相続人が土地で農業をしていて、その土地を相続して農業を続ける人には、相続税の納税が猶予される特例があります。該当する人がいれば、この表に記入します。

ステップ3:控除計算と相続税の最終算出(第4〜8表)

相続税にはいろいろな控除や減額があります。配偶者への税の減額、未成年や障害を持つ相続人への控除などです。第4表から第8表は、これらの控除や減額の計算書です。該当する控除があれば、記入して相続税額を減らしましょう。

第4表 加算金額と贈与税額控除額の計算書

相続税の加算金額

配偶者、子ども、親以外の相続人がいる場合、その人の相続税に2割加算した税を納めなければなりません。該当する人は、この表で2割加算の計算をします。

贈与税額控除額

相続する前の3年以内に贈与があった場合、それにも相続税がかかります。しかし、贈与税を納めていれば、二重課税は避けられます。支払った贈与税額は、相続税額から引かれます。

これに該当する人は、この表も記入してください。

第5表 配偶者の税額軽減の計算

相続人が配偶者の場合は、

◎ 1億6,000万円

◎ 配偶者の相続分=遺産の半分

のうち、大きい方は税金から除かれます。

該当する場合は、この表に記入してください。

第6表 未成年者・障害者の税額軽減の計算

未成年者が相続する場合、「成人までの年数 × 10万円」分が税金から除かれます。

障害者が相続する場合も、

◎ 一般的な障害者:「85歳までの年数 × 10万円」

◎ 特定の障害者:「85歳までの年数 × 20万円」

これらの金額も税金から除かれます。

未成年者や障害者が相続人にいる場合、この表に記入してください。

第7表 続きの相続税を減らすための計算書

「続きの相続税を減らす」とは、亡くなった人が、過去10年以内にもう一度相続した場合、次の相続人が払う相続税が少し減る制度です。

たとえば、夫から遺産を受け取り相続税を払った妻が、その後10年以内に亡くなると、その遺産を受け継ぐ子どもは相続税が少なくなります。

これに該当する場合は、この表を書く必要があります。

第8表 海外の税金を減らすため・農地の税金を後で払うための計算書

遺産が海外にある場合、その国でも相続税と同じ税金がかかることがあります。

そうすると、日本と海外で二度相続税を払うことになります。

そんな時には、「海外の税金を減らす」という制度で相続税が少なくなりますので、この表で申告してください。

また、第12表の農地を受け継ぐ時に税金を後で払う場合にも、この表で計算しましょう。

相続税の計算方法

控除額の計算

相続が起きたとき、すべての財産に税金がかかるわけではないです。

生活を守るために、ある程度の税金がかからない範囲(基礎控除)があります。

基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 相続する人の数

<例えば>夫婦と子供2人の4人家族で、お父さんが亡くなった場合

→ 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

基礎控除内なら、税金はかかりません。基礎控除を超えた場合、その超えた部分だけが税金の対象となります。

相続税額の計算式

遺産が一定の額を超えると、相続税がかかります。計算方法は以下の通りです。

  • 遺産全体を法定相続分に分けます。
  • それぞれに税率をかけて、税額を出します。
  • その税額を全部足します。
  • 全体の税額を、実際にもらった割合で分けます。

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円以上55%7,200万円

<例>4人家族(夫婦と子供2人)で、夫が2億円の財産を遺して亡くなった場合

税金計算の対象となる遺産総額:2億円 - 4,800万円 = 15,200万円

基礎控除3,000万円 + 600万円 × 相続する人の数
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

法定相続分による分配

妻:15,200万円の半分 = 7,600万円

子供たち:15,200万円の4分の1 = 3,800万円(子供1人あたり)

相続税の計算

妻:7,600万円 × 30% - 700万円 = 1,580万円

子供たち:3,800万円 × 20% - 200万円 = 560万円(子供1人あたり)

相続税の合計

1,580万円 + 560万円 × 2人 = 2,700万円

財産をどのように取得したかに基づいた税金の負担

妻が1億5,000万円、子供たちが残りの金額を分け合った場合、

妻:2,700万円 × 1億5,000万円/2億円 = 2,025万円

子供たち:2,700万円 × 2,500万円/2億円 = 337.5万円(子供1人あたり)

※配偶者の税額軽減を適用した場合、妻の税金は生じません。

相続税がかからなくても申告が必要

小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減など、特例適用により相続税がかからない場合でも、申告が要件となるので注意が必要です。

相続税対策と節税方法

生前に相続財産を少なくする対策をしておけば、相続税も少なくなります。また、相続税を支払うための納税資金を準備しておくと安心です。

生命保険を利用した節税

相続人である子供を生命保険金の受取人にすると「500万円×法定相続人の数」まで相続税は非課税です。
そのため、相続人になる子を受取人にすれば、非課税の枠内でお金を遺せます。
このお金を相続税の支払いに使えば、お金の心配が少なくなるかもしれません。

故人が個人自身にかけて保険料を支払っていた生命保険で、受取人が相続人という場合でないと、非課税枠を利用することはできません。
また、相続を放棄した場合も非課税枠を使うことはできません。

終身保険は相続税対策に最適です。
預金の一部を使って一時払い終身保険に入ると、相続税を節約できます。

生命保険には定期保険、養老保険、終身保険の3種類があります。
定期保険は一定期間内に亡くなったら保険金が出ます。

同じく、養老保険は一定期間内に亡くなると保険金が出て、期間が終われば満期保険金がもらえます。
しかし、定期保険と養老保険の保証期間は限られています。
相続はいつ起こるかわからないので、これらの保険は相続対策には適していません。

しかし、終身保険は生涯保証が続くので、いつ相続が起こっても保険金が出ます。
それで相続対策に適しています。

さらに、終身保険を途中で解約すると、解約返戻金がもらえるので老後の資金にも使えます。

終身保険の中でも、「一時払い終身保険」は審査が緩いので、病歴がある人や高齢者でも簡単に契約できます。

不動産の有効活用

空き地や空き家を収益物件にすると、節税につながります。賃貸アパートやマンションは、自宅や別荘よりも相続税が低くなります。なぜなら、人が住んでいるため自由に使えないからです。

自分の土地に賃貸物件を建て、他人に貸している場合、その土地は「貸家建付地」と言います。その土地と建物の価値は、下図のように低く評価されます。

借地権の割合は、土地の価値によって決まります。それは、Aが90%、Bが80%、Cが70%などとアルファベットで示されます。最低はGの30%です。これは、建物を借りる権利であり、全国一律で30%とされています。

さらに、「小規模宅地等の特例」を使うと、相続した土地の税評価額を減らすことができます。賃貸用の土地の場合、最大200㎡までの土地の価値が半分になります。この特例を使うには、相続税の申告が必要です。

ただし、注意点があります。部屋が空いていると、その分税金が上がります。また、人が住んでいないとコストがかかり、赤字になる可能性があります。賃貸収入で貯金が増えると、相続財産が多くなります。

贈与と相続のバランス

大きな金額を子供や孫にあげると、税金がかかることがあります。
でも、特別な制度を使ってあげれば、一部の金額は税金がかからないです。

  • 教育資金の贈与(最高1500万円まで税金なし)
  • 結婚・子育てのお金の贈与(最高1000万円まで税金なし)
  • 家を買うためのお金の贈与(最高1000万円まで税金なし)

これらの特別な制度を使ってあげると、さらに多くの財産を減らすことができます。
ただし、これらの特別な制度は一定の期間だけです。
教育資金は2026年3月まで、結婚・子育てのお金は2025年3月まで、家を買うためのお金は2026年12月までです。

大切なことは、もらったお金をちゃんと目的のために使わないと税金がかかることです。
そして、子供や孫が毎日必要な生活費や教育費はもともと税金がかからないので、特別な制度を使ってあげるなら、将来必要な教育資金や結婚・子育てのお金をあげるのがいいです。

相続放棄の手続きと効果

プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合、相続放棄を選択すれば、故人の権利や義務を一切受け継がないようにすることができます。

  1. 相続放棄の基礎知識
  2. 相続放棄のメリットとデメリット
  3. 相続放棄のデメリット
  4. 相続放棄の注意点
  5. 相続放棄の手続き前に準備すべきこと
  6. 相続放棄手続きの流れ

税理士に相続税申告の依頼をしたらしてくれること・頼むメリットや費用

税理士は相続税申告書の作成や相続財産の評価といった相続人が行うべき作業を代行できます。
さらに、ただ相続税申告を終わらせるだけでなく、家族の将来の生活設計に合わせた税務相談も行います。

相続税申告書の作成

税理士は相続税申告書の作成を代行します。
相続税申告書は、相続が始まったことを知った日から10ヶ月後までに税務署に提出する書類です。

書類を書くだけだと思うかもしれませんが、その量はとても多いです。
税理士法人の職員でも、1つの相続税申告書を作るのに1日かかります。
土地や株式などを多く所有していた場合、1日では終わらず、1週間かかることもあります。

専門用語がたくさん使われていて、初めて相続税申告書を作る人がすんなりと書けるものではありません。
書類に書かれた言葉の意味を調べながら作成します。

相続財産の評価

税理士は「相続財産の評価」を代行することができます。
相続財産の評価は国税庁が定める「財産評価基本通達」に基づき行います。
財産評価基本通達とは不動産の評価基準や株式の評価基準など、相続財産の評価基準について示したものです。

「やり方が書いてあるんだから、その通りに計算すればいいだけでしょ。」と思われるかもしれませんが、そんな簡単にはできないのが相続財産の評価なのです。

税理士法人の職員も、先輩からやり方を聞いて、財産基本通達を何度も読み込みながら、何年もかけて正確に評価できるようになります。

初めて財産評価の方法を見た相続人の方が、正確に土地の評価するのは、ほぼ不可能です。

相続関係の書類の収集や希望に沿った相続の税務コンサルティング

税理士に相続税申告を頼むと、書類の収集から財産の調査や評価まで全てやってもらえます。
さらに、遺産の分け方についても、税理士があなたの意見を聞いて報告書を作成します。これにより、時間を大いに節約できます。

相続税の税務コンサルティングというと、生前贈与や生命保険の活用など、生前の対策を思い浮かべる方が多いと思いますが、相続が発生した後でも出来る税務コンサルティングがあります。

例えば税理士が相続税申告を代行する場合は、お客様の意向に沿った遺産分割の方法を提案することができます。
遺産分割の方法によって、相続税額は変わってきますし、相続税申告後の所得税額にも影響を与えることができます。

また、相続人が「配偶者と子ども」といったケースでは、近い将来再び相続が発生する可能性が高いです。
税理士に依頼する場合は二次相続も考慮した遺産分割・相続税申告を行うこともできます。

税理士に依頼すると払う必要のない税金を払わなくて良くなる

相続税には、相続財産の状況によって税金が少なくなる控除や特例がたくさんあります。
しかし、これらを自分で理解して適用するのは難しいです。
税理士に相続税申告を依頼すると、適切な控除や特例を使って、不必要な税金をできるだけ少なくすることができます。

財産評価で余分な相続税を0円にすることができる

相続税申告は、すべての相続財産を評価し、その金額に基づいて相続税を計算します。
しかし、財産を評価する際に、減らす要素を見逃すと、財産の評価額が高くなり、本当に払うべき金額よりも多い税金を払うことになります。

【減らす要素の例】(土地の場合)

  • 形が整っていない場合
  • 500㎡以上の土地の場合
  • 道路に面していない場合
  • 4m以下の道路に面している場合 など

特に土地の評価は難しく、専門的な知識が必要です。

税理士は土地の評価に詳しく、デスクワークだけでなく、現地調査も行い、不動産鑑定士の意見も聞きます。そのため、減らす要素を見落とすことなく適用でき、余計な税金を「0」にすることができます。

控除・特例の適用で余分な相続税を0円にすることができる

【相続税の特例の例】

・配偶者の税額軽減

・小規模宅地等の特例

・未成年者の税額控除

・障害者の税額控除

・贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

・相次相続控除

・外国税額控除

相続税専門家の選び方

報酬の相場と契約のポイント

相続税申告の税理士の料金は、通常、「遺産の合計の0.5~1.5%」です。

しかし、この0.5~1.5%は一般的な範囲です。

税理士の料金はさまざまな事情により変わることがあります。

  • 土地をたくさん持っている場合
  • 上場されていない株を持っている場合
  • 相続税申告の期限が近い場合

さらに、税理士の料金は、税理士との信頼関係に関わる大切な問題です。後で問題が起こらないように、最初の面談で大まかな料金を確認しましょう。

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