いつか訪れる身内の死とともに発生するのは、膨大な量の死亡後の手続きです。
何度も経験するものではないため、遺族となった際の「どのような手続きが必要なのかわからない」という声をよく耳にします。
この記事では、「身内の死後に遺族となったときに何をすべきか」をわかりやすくまとめています。
相続に関する手続きは多岐にわたり、時期によって必要な対応が異なります。
そのため、スケジュールに従って計画的に対応することが重要です。
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亡くなってから葬儀までの手続き
ご家族が亡くなった直後は、葬儀関連の手続きが中心となりますが、最低限の公的手続きも必要です。
心労が重なる時期ではありますが、各手続きには期限が定められていますので、迅速に対応することが求められます。
近親者への連絡
親族、職場、近所の人々に亡くなった事実を伝えます。
連絡の際に、「連絡者リスト」を作成しておくと、情報漏れを防ぐことができます。
そして、当日に伝える内容は亡くなった事実のみで十分です。ただし、通夜や葬儀の日程が既に決まっている場合は、その情報も一緒に伝えると参列者にとって準備がしやすくなります。
遺体の搬送、退院の手続き
病院で亡くなった場合、通常は数時間程度しか遺体を安置してもらえません。
自宅に安置する場合は自宅へ、葬儀社を利用する場合は葬儀社の安置場所へ遺体を搬送します。
また、搬送と同時に入院費の清算などの退院手続きも行うため、必要な費用を用意しておくことが大切です。
「誰が費用を支払うのか」「どの費用から支払うのか」などは、近しい人と事前に話し合い、決めておくと後々のトラブルを防げます
葬儀社の選定
亡くなった人が葬儀について何か希望を残していたかどうか確認します。
遺言書やエンディングノートに書かれている場合もあるでしょう。
その後、葬儀の形式を決め、葬儀社を探します。
葬儀社を選ぶ際の注意点は以下の3つです。
病院で亡くなった場合、特別な家族の要望や近所の風習がなければ、その病院が提携している葬儀社を選ぶのも一つの方法です。このような場合、遺体の搬送から法要まで一括して任せられるプランがほとんどです。
どのタイミングで電話すれば良いですか?
生前にお電話を頂くことによって、いざという時に混乱せずに冷静に対応することが出来ます。 ご不明な点があれば、どんな些細なことでも結構ですので、いつでもお電話下さい。 相談後、必ずしも私共にご依頼いただく必要はございません。
よくある質問:心に残る家族葬
24時間365日、全国対応
依頼後、おおよそ1時間以内に病院に到着
5名~75名ほどの小規模葬儀に特化した心に残る家族葬
ご逝去直後は葬儀費用や入院費用、場合によっては特殊清掃代など、まとまったお金が必要になります。これらは遺産分割の際に精算できるものなので、立替が必要な場合は、領収書はしっかり保管しておきましょう。
死亡届・埋火葬許可申請書の提出
手続きは市区町村役場で行います。必要な書類は死亡届と埋火葬許可申請書で、これらは7日以内に提出する必要があります。
亡くなった場合、病院から「死亡診断書」と「死亡届」が渡されます。「埋火葬許可申請書」を記入し、7日以内に役所へ提出すると、「埋火葬許可証」が発行されます。この許可証は納骨の際に必要となります。
一般的には、葬儀社が手続きを代行し、遺族が許可証を受け取ります。提出が遅れると過料が発生する可能性があります。
通夜
通夜は主に葬儀社が主導し、準備や案内などを担当します。
家族は、喪主選定、参列者の出迎えと見送り、挨拶などを行います。
通夜後は翌日の葬儀について葬儀社と打ち合わせます。
喪主の挨拶を考える余裕がない場合は、代筆業者にお任せすることもできます。
▼代筆業者▼
葬儀挨拶代筆店
葬儀の実施、初七日法要
手続き先・依頼先として葬儀社、菩提寺、または葬儀社が紹介するお寺を選びます。期限としては7日以内が目安です。
初七日法要
仏教では、死後7日目に「初七日法要」を行うのが一般的ですが、最近では葬儀と同日に初七日法要を行うケースも増えています。
個別に法要を行う場合は、お斎、僧侶の手配などが必要となります。
菩提寺または葬儀社が紹介するお寺に早めに連絡を入れ、依頼する必要があります。
火葬済の証明の取得
火葬後、遺骨を骨壺に入れ、「火葬許可証」の押印を受け取ります。火葬は通常、葬儀後すぐに行われ、納骨は四十九日の法要と合わせて行われます。その間、「火葬許可証」は自宅で保管し、納骨の際に提出します。紛失防止のため、コピーを取ります。
「押印済の火葬許可証」は納骨の時に必要になります。
葬儀代の支払い
葬儀が無事に終わった後は、葬儀代の支払いと葬儀代の領収書の取得です。
葬儀代は後々の相続手続きに影響を与えます。
通常、葬儀から約1週間後に葬儀社から請求書が発行され、その時に葬儀代を支払います。
葬儀社によっては当日支払いや現金手渡しが必要な場合もあるので、事前に確認しましょう。
葬儀代を支払った後は、葬儀社から領収書を受け取ります。
故人の預金口座から葬儀代を支払う場合の注意点
葬儀代は高額になることがあるため、故人の預金から支払いたいと考える方もいるでしょう。
しかし、銀行に死亡を通知すると故人の口座が凍結され、相続手続きが完了するまで預金を引き出すことができません。この点には注意が必要です。
また、故人の預金は相続財産になります。
後々の相続人間のトラブルを避けるためにも、預金を引き出す意向を相続人全員に伝え、了承を得ることが重要です。
葬儀代の領収書は後日、葬祭費の支給申請手続きや遺産分割の時に必要となるため、必ず保管しておきましょう。
亡くなってからすぐに行うべき役所での公的手続き
葬儀が終わり、一段落ついた後は、年金や保険に関する公的手続きが本格的に始まります。
手続き内容によって期限は大きく異なりますが、どれも後回しにせず、できるだけ早く対応しましょう。
年金受給停止の手続き
年金受給者が亡くなった場合、受給停止手続きが必要です。この手続きを怠ると、本来受け取るべきでない年金を受給し、不正受給となる可能性があります。
年金受給停止の手続きを行うと「未支払給付金請求書」が発行されます。この手続きを通じて未支払年金の請求も行うと、漏れがなく安心できます。未支払年金請求の期限は5年以内です。
年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。:日本年金機構
死亡届が必要な場合は、10日(国民年金は14日)以内に「死亡届」に死亡年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、生年月日などを記入し、亡くなった方の年金証書と、死亡を明らかにすることができる書類(戸籍抄本または住民票の除票など)を添えて、年金事務所または年金相談センターにお出しください。
未支給年金の請求
必要書類
年金は2か月に1回後払いで支払われる仕組みのため、支給されるべき年金が受け取れていない場合は、生計を同じくしていた遺族は「未支給年金」を受け取ることができます。
年金事務所に「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出して申請します。
未支給年金の請求期限は5年以内と長めですが、年金の受給停止手続きと併せて行うと漏れがなく安心です。
国民年金の死亡一時金請求
提出先
提出期限
亡くなった翌日から2年以内
必要書類
死亡一時金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)が受けることができます。
死亡一時金を受けるとき:日本年金機構
健康保険の資格喪失手続き・保険証の返納
日本では、国民全員が公的な医療保険に加入する義務(国民皆保険制度)が定められています。
加入していた方が亡くなった場合、保険の資格喪失手続きと保険証の返却を行う必要があります。
国民健康保険に加入していた方の手続
提出先
故人の居住地の市区町村役場
提出期限
死亡から14日以内
手続きする人
世帯主または、同一世帯の人
必要書類
故人が自営業などで国民保険に加入していた場合は、故人の居住地の市区町村役場に「国民健康保険資格喪失届」と必要書類を提出し、保険証を返却する必要があります。
市区町村によっては、死亡届を出せば保険の資格喪失手続きは不要になる場合もありますが、その場合も保険証の返却は必要になります。
社会保険に加入していた方の手続
提出先
加入先の保険組合
提出期限
死亡後5日以内
手続きする人
事業主
必要な書類
勤務先が手続きしてくれますが参考までに。
- 組合管掌健康保険の被保険者
特になし - 協会けんぽの被保険者
① 健康保険被保険者証(本人分及び被扶養者分)
② 高齢受給者証、健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証
※ ②については、交付されている場合のみ
故人が民間企業の会社員などで、社会保険に加入していた場合は、加入先の保険組合に「被保険者資格喪失届」と必要書類を提出し、保険証を返却する必要があります。
会社に手続きを行ってもらえる場合が多いため、まずは故人の勤務先などに連絡を入れ、必要な手続きを確認しましょう。
故人の扶養に入っていた方がいる場合は、同様に社会保険の資格を失うため、死亡後14日以内に、国民健康保険への切り替えが必要になります。
後期高齢者医療制度に加入していた場合
故人が75歳以上で後期高齢者医療制度に加入していた場合は、「後期高齢者資格喪失届」と必要書類を提出し、医療保険証を返却する必要があります。
もし故人が住所を老人ホームに移していた場合は、老人ホームの住所を管轄する市区町村役場に提出する必要があります。
介護保険に加入していた場合
介護保険に加入していた場合、故人が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合は、「介護保険資格喪失届」を提出し、介護保険証を返却する必要があります。
加入先によっては、葬儀に関する費用(葬祭費・埋葬料)が支給される場合があります。
自ら請求しないと支給されませんので、死亡連絡の際に請求方法を確認し、忘れずに請求手続きを行いましょう。
葬祭費または埋葬料の請求
葬祭費(国民健康保険加入者)
提出先
故人の居住地の市区町村役場
提出期限
葬儀を行った日の翌日から2年
必要書類
埋葬費(社会保険加入者)
提出先
加入先の保険組合
提出期限
葬儀を行った日の翌日から2年
必要書類
故人が国民健康保険や社会保険に加入していた場合、亡くなった際に「埋葬料」や「葬祭料」と呼ばれる給付金を受け取ることができます。加入先によって手続きが異なるので注意が必要です。
社会保険の埋葬料は一律5万円、国民健康保険の場合も5万円の場合がほとんどです。
社会保険の埋葬費の手続きは会社が対応してくれる場合もあるため、まずは勤務先に連絡して手続き方法を確認することから始めましょう!
葬祭費と埋葬料は自動支給ではないので、各自で請求手続きを行う必要があります。
手続きの期限は2年以内ですが、忘れないように早めに申請することをお勧めします。
世帯主変更届(故人が世帯主だった場合)
提出先
お住まいの市区町村の役場窓口
提出期限
世帯主死亡後14日以内
手続きする人
世帯員
必要書類
故人が世帯主だった場合、世帯主変更届が必要です。
ただし、次の世帯主が明確な場合や、世帯に誰も残っていない場合は手続きは不要です。
提出が遅れた場合、5万円以下の過料が課せられることがあるので、注意が必要です。
世帯主変更を行う際は、多くの市区町村で「住民異動届」という書類を使用しますが、地域によっては別の書類が必要な場合もあります。不明な場合は役所窓口で確認してください。
高額療養費の支給申請
国民健康保険加入者
提出先
故人の居住地の市区町村役場
提出期限
診療を受けた月の翌月の初日から2年間
必要書類
手続き先は故人の居住地の市役所、または健康保険組合です。必要書類は高額療養費支給申請書、医療費の明細書、故人との関係が分かる戸籍謄本などです。期限は医療費の支払いから2年以内です。
1か月の医療費負担が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻しとなる制度を「高額医療費支給制度」と呼びます。
生前に高額な医療費を負担した場合には、超過分の支給申請が可能です。
申請手続きの流れは加入先によって異なりますが、いずれの場合も加入先に支給申請書と必要書類を提出します。
生命保険の死亡保険金請求
手続き先は加入先の保険組合です。必要書類は所定の請求書、保険証券(証書)、故人の住民票、死亡診断書、受取人の本人確認書類などです。期限は亡くなった翌日から3年以内です。
故人が生命保険(死亡保険)に加入していた場合は、保険の受取人が「死亡保険金」を受け取ることができます。まずは加入先の保険会社に連絡を入れ、案内に沿って手続きを行います。
雇用保険受給資格者証の返還(故人が失業保険受給者の場合)
提出先
雇用保険を受給していたハローワーク
提出期限
死亡から1か月以内
必要書類
雇用保険を受給していた故人の場合、ハローワークに「雇用保険受給資格者証」を返還する必要があります。
雇用保険の失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合には、前回の認定日から死亡した日の前日までの失業等給付金を遺族が受けることができる場合があります。
受給することができる者は、受給者の収入により生計を立てていた者であり、配偶者がいれば配偶者、配偶者がいないときは子、父母、兄弟の順になります(民法上の相続順位とは異なります。)
受給者の配偶者や子であっても、受給者の収入で生計を立てていない者は受給することができません。
亡くなった前日までの失業給付を 受け取ることができます:厚生労働省
亡くなってからなるべく忘れないうちにやるべき手続き
公共料金の手続き対象は、電気、ガス、水道などです。
基本的に、毎月の支払明細に問い合わせ先が記載されていますが、ない場合は、最寄りの電力会社やガス会社に問い合わせましょう。
(電力やガスの自由化により、従来の会社とは別に契約している場合もあります。)
水道については、通常、最寄りの水道局に連絡します。
判断が難しい場合は、引き落とし口座の通帳で引き落とし先を確認することも可能です。
電話、インターネット、テレビ等の解約(名義変更)
故人の契約先を把握するには、支払明細や請求書で確認するとスムーズです。
まず契約先を確認し、契約者の死亡を連絡し、必要な手続きの指示をもらいましょう。
固定電話やインターネット
レンタルのモデムやルーター等がある場合は、返却や立ち合いが必要なので、各契約会社に問い合わせ時に確認しましょう。
誤って捨ててしまうと紛失料を請求される場合もあります。
携帯電話
手続きは最寄りの携帯ショップで行うことが多いため、予約を入れて対応しましょう。
(店舗のない契約先の場合は、Webまたは電話で手続き方法を確認しましょう。)
NHK
「NHKふれあいセンター」に死亡を連絡します。
NHKふれあいセンター解約手続
0120-222000
050-3786-5003(有料)
受付時間:午前9時~午後6時(土・日・祝日も受付)
その後、管轄センターから連絡があり、手続きを進めます。
解約を届け出たタイミングによっては、過払いが発生する場合もあります。
名義変更の場合は、ホームページからの手続きがスムーズです。
NHK契約者変更
▼放送受信料契約者氏名変更手続▼
https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/NameChangeTop.do
クレジットカードの解約
故人がクレジットカードを契約していた場合、相続は不可能なので、必ず解約が必要です。
カード裏面や支払い履歴からカード会社を確認し、亡くなったことを通知して解約手続きを行います。
未払い金がある場合、相続人が支払う必要があります。
運転免許証の返納
免許証の効力は持ち主の死亡とともに自動的に失われますし、返納の義務はないのですが、身分証ですので手続しておいた方が安全です。
運転免許更新センターまたは警察署にある「運転免許証返納届」に必要事項を記入し、必要書類を提出します。
パスポートの返納
パスポートの効力は名義人の死亡とともに失われますが、旅券法により、速やかに返納することが原則です。故人がパスポートを持っていた場合は、全国のパスポートセンターの「返納届」に必要事項を記入し、必要書類を提出します。
遺産相続に関する手続き
葬儀が終わると、「相続手続き」が始まり、これにより故人の財産が配偶者や子に受け継がれます。
相続内容によって必要な手続きが変わり、手続きごとに期日も異なるので注意しながら進めてください。同時に遺品整理も行う必要があります。
基本的には、遺言書通りに遺産が分配されます。そのため、最初に遺言書の有無を確認することが最優先事項です。遺言書がない場合は、誰が相続人になるかを調査する必要があります。
遺言書の確認・検認
公正証書遺言の検索
場所
公証役場
全国どこの公証役場でもOK
必要書類
なお、遺言者が亡くなる前は、遺言検索の申出は遺言者本人に限られています。
Q1. 亡くなった方について、公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか?:日本公証人連合会
故人の遺品や金庫を調査し、公証役場で遺言の検索や法務局で保管の確認を行い、遺言書の有無を確認します。
公証役場や法務局以外で自筆証書遺言が見つかった場合は、偽造・変造を防止するためにすぐに家庭裁判所で「検認」の手続きを行います。
遺言書を検認前に開封したり、検認せずに遺産相続手続きを進めると、5万円以下の過料が発生する可能性があります。遺言書が見つかったら必ず検認を行いましょう。
公正役場と法務局以外で見つかった遺言書は、必ず家庭裁判所の検認手続きをしましょう!
勝手に開封してしまった遺言書ではできない手続きがあります!
遺言書の検認
場所
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
▼管轄裁判所を調べたい方はこちら▼
裁判所の管轄区域:裁判所
必要書類
検認手続の必要書類は、相続人が誰なのかによって変わるので、ここでは親が亡くなった場合に子が申し立てる検認手続きの必要書類を上げています!
検認の申立ては、それだけでも弁護士さんに依頼する場合もある難しい手続きですが、弁護士会などの無料相談を利用したり、足りない書類を家庭裁判所の窓口で教えてもらったりしながらでも不可能じゃない手続きだと思います。
ただし、裁判所の職員さんの中には、ものすごーく物言いが厳しい方もいるので、自力ではちょっと無理かも…と思ったら専門家に相談するのがおすすめです!
遺品整理
手続き先・依頼先
遺品整理業者、または自分自身
▼遺品整理業者▼
【ライフリセット】
期限
相続税申告期限の10か月以内が目安
故人が遺したもののうち、不動産以外のもの全て(家具や家電、日用品、愛用品など)を整理し、【貴重品・形見・リサイクル・処分】のいずれかに分ける必要があります。
これを「遺品整理」と呼びます。遺品整理は自分で行っても問題ありませんが、難しい場合は業者への依頼も検討しましょう。
遺品整理を事前に済ませておくと、相続財産の調査がスムーズに進みます。
遺品ひとつひとつに故人との思い出が蘇ってくるので、ご家族の持ち物を片付けるのは想像以上に大変な作業です。
賃貸にお住まいだったご家族の遺品整理は、急いでしなければならないことがほとんどなので、遺品整理から買い取り・清掃までをお任せできるプロにお願いするのがおすすめです。
24時間365日全国対応の遺品整理業者さんにお願いすれば、遠方のご家族の遺品整理もスムーズに済みますね。
ライフリセット
▼24時間365日全国対応・遺品整理のライフリセット▼
【重要】相続人の調査
手続き先・依頼先
故人の本籍地の市区町村役場窓口
必要書類
故人の戸籍謄本や除籍謄本(生まれてから亡くなるまでの全て)
期限
できるだけ早く故人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本や除籍謄本を集めて、相続人の調査を行います。
戸籍謄本や除籍謄本は本籍地の役所で申請して取得します。遠方の場合は郵送で取り寄せも可能です。
故人の出生から死亡までの戸籍は、相続手続きに欠かせない書類ですね!
故人の本籍地の市役所で、「出生から死亡までの戸籍をください!」と言えば、とれる限りの戸籍を出してくれますよ!
ちなみに、郵送で請求する場合は、費用は現金ではなくゆうちょ銀行の「定額小為替」で支払います。
相続財産の調査
先ず、取引のあった金融機関や証券会社などに手続きを行います。必要な書類は、金融資産:金融機関の預金通帳、運用報告書、残高証明書、取引履歴など、不動産:固定資産税納税通知書、名寄帳、登記簿謄本などです。期限はなるべく早くが望ましいです。
相続人が決まったら、次に故人の総財産を調査し、遺産分割の対象となる相続財産を把握します。故人が生前に取引していた金融機関や所有していた不動産などを確認し、所有していた財産を明確にしましょう。
遺産分割協議
手続き先・依頼先は、相続人同士での話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所です。必要な書類はありません。期限もなるべく早くが望ましいです。
遺言書がない場合、相続人が確定した後、相続人全員で相続財産の分割方法について話し合います。遺産分割に期限はありませんが、早めに行うことを推奨します。
相続放棄
手続き先・依頼先は家庭裁判所です。必要な書類は相続放棄申述書、故人の死亡除籍・住民票、申述人の戸籍謄本などです。期限は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内です。
多額の負債がある場合など、相続人が負債を引き継がずに済むよう、相続放棄が可能です。家庭裁判所に必要書類を提出し手続きします。相続放棄により、未払いの家賃や公共料金、通信料などの支払い義務も免除されます。ただし、相続財産に一度手を付けてしまうと放棄ができなくなりますので注意が必要です。
故人の所得税の準確定申告・納税
手続き先・依頼先は管轄の税務署です。
必要な書類は確定申告書、確定申告書付表、源泉徴収票、医療費の領収書、保険等の控除証明書などです。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
故人が確定申告をすべきだった場合、相続人が代理で確定申告を行う必要があります。これを「準確定申告」と呼びます。通常の確定申告書と同じ様式のものを使用し、必要書類とともに税務署へ提出します。
期限を過ぎると、加算税や延滞税などの追加税が発生する可能性があります。まずは準確定申告が必要かどうかを確認しましょう。
財産の名義変更
遺産分割協議によって相続する財産が決まったら、相続した財産の名義を相続人に変更する必要があります(必要に応じて売却も検討)。
代表的なのは、銀行の預貯金口座、不動産、株式、自動車などの名義変更です。
手続き先や依頼先は財産の種類による(法務局、金融機関、陸運局など)。
必要書類は確定申告書、確定申告書付表、源泉徴収票、医療費の領収書、保険等の控除証明書などです。
期限はないが、相続が確定した時点でなるべく早く対応する必要があります。
特に不動産手続きは「相続登記」と呼ばれ、名義変更をしないと、相続した不動産の売却ができないなどのリスクが発生しますので注意が必要です。
相続登記の手続きは法務局に申請する形で行いますが、必要書類が多くて手続きが複雑であるため、難しい場合には司法書士に依頼するのもよいでしょう。
2024年4月1日からは相続登記(不動産の名義変更)が義務化されます。不動産取得を知ってから3年以内に手続きをしないと、10万円以下の過料対象となる可能性があるため注意が必要です。
相続税の申告・納税
手続場所
故人の住所地の管轄の税務署
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税務署の所在地
必要書類
期限
故人の死亡を知った翌日から10か月以内
相談先
税理士
▼近所の相続が得意な税理士を検索▼
税理士ドットコム
故人から預貯金や不動産などを相続した場合で、遺産総額が基礎控除(3,000万円+相続人の数×600万円)を超える場合には、相続税の申告と納税が必要になります。
期限を過ぎてしまうと、延滞税や無申告加算税が発生しますので、まずは相続税がかかるかどうかの確認を行いましょう。
遺産分割調停中で、解決までまだまだ時間がかかるような場合でもひとまず相続税の申告は行います。
法律事務所で相続のお仕事をしていると、依頼者さんがお願いしている税理士さんと必要な書類を共有したり、連携して手続きを進めたりするケースも多いです。
法律と税務では視点が違うので、どちらの先生のアドバイスも受けるのがおすすめです。
「相続税」に関する相談に税理士が無料で回答しています。「相続時精算課税制度と暦年課税より110万円の贈与は有利で簡単?」や「贈与税について」のような「相続税」に関係する税務相談を集めました。「相続税」でお悩みの方は、他のユーザーの相談を閲覧したり、自分の状況を相談してみましょう。
「相続税」の税務相談:税理士ドットコム
税理士ドットコムを運営する弁護士ドットコム株式会社は、弁護士や税理士の先生からの認知度がものすごく高い、安心と信頼の士業紹介サイト運営会社です!
▼税理士ドットコム▼
トマトは弁護士さんたちが弁護士ドットコムなどに掲載する文章のチェックをすることもあるのでわかるのですが、それぞれの先生の人柄や得意なことは、しっかり紹介ページの文章に滲み出ています。
よくチェックして、自分が安心してお任せできる先生を見つけてくださいね。
相続手続きをしないとどうなる?
相続手続きをしないまま放置すると、期限のある手続きとの関係で問題が生じる可能性が高いです。
たとえば相続放棄ができなくなり、多額の負債を相続してしまうかもしれません。税務申告の期限を徒過すると、無申告加算税や重加算税を含む多額の追徴課税を受ける可能性があります。2024年4月1日以降に義務化される不動産の相続登記を怠ると、過料の制裁を受けることもあり得ます。
また、未分割の遺産は相続人全員の共有となりますが、活用方法などについて揉める原因となるケースが多いです。他の相続人の監視が疎かであることに乗じて、一部の相続人が未分割の遺産を使い込んでしまうケースも散見されます。
このようなリスク・トラブルを避けるためにも、早めに相続手続きを済ませましょう。
家族が亡くなった時にやってはいけないこと
【NG】故人の預金を勝手に引き出す
亡くなった方の財産は、遺産分割協議が完了するまでは相続人全員の共有財産となります。
そのため、個人の判断で勝手に預金を引き出すことはやめましょう。
相続人間のトラブルを引き起こす可能性があります。
具体的なトラブル事例を見てみましょう。
A子さんは、自宅の不動産は同居の娘に、預金は離れて暮らしている息子に遺す旨の遺言書を作成していました。
A子さんの死亡後、娘は葬儀代や入院費の支払いなどに備えて、ATMでA子さんの口座から上限額いっぱいのお金を5日に渡って計250万円を引き出しました。
この出金について、A子さんの預金を相続する兄から疑われて喧嘩になり、お互いに疑心暗鬼のまま遺産分割の手続きが全く進まなくなってしまいました。
故意に預金を引出す場合に限らず、死亡直後は葬式費用や医療費の精算、墓石代など出費も多く、これらに備えて口座凍結前にお金を引き出しておこうと思われる方も多いことでしょう。
日々の生活費を亡くなった夫の貯金から捻出していた場合には、手元に預金がなければ配偶者は生活することができないというケースもあることでしょう。
このような場合であっても、他の相続人の了承を得ず、無断で預金を下ろすことは避けましょう。
他の相続人から、財産を使いこもうとしているのではないかと疑われる恐れがあるからです。
故人のお金をおろして葬儀費用や故人の医療費の支払いに充てた場合には、必ず領収書やレシートを残しておき、何に使ったか分かるようにしましょう。
なお、2019年の民法改正により、口座凍結後、遺産分割協議前であっても一定金額を上限に預金を仮払いできる制度がはじまりました。
本制度で各相続人が単独で払出しをできる金額は、下記のいずれか低い方となり、金融機関毎に適用されます。
死亡時の預金残高×法定相続分×1/3
150万円
遺産分割が難航しているケースや相続人間のトラブルの懸念がある場合には、当面の出費に備えて本制度の利用をご検討ください。
【NG】故人の財産を使用・処分する
相続人が、故人の遺産を使用したり処分をすることで、相続放棄ができなくなってしまうケースがあります。
財産の承継方法には、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があります。
単純承認とは、個人のプラスの財産もマイナスの財産も全てを相続することをいいます。
一方で、借金や債務などマイナスの財産が多い場合には、相続放棄をすることでそもそも相続人とならない選択や、相続人全員で限定承認をしてプラスの財産の金額の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐといった方法を選択できます。
しかし、故人の預金を使うことや、財産を処分をすることは、自動的に単純承認をしたとみなされてしまい、相続放棄をするという選択ができなくなってしまう可能性があります。
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
民法第921条
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
具体的には、下記のような行動をとると、単純承認をしたとみなされてしまうケースがあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、亡くなった方の遺産の全容が把握できるまで、遺産の使用や処分は避けたほうがよいでしょう。
亡くなった父の愛車を引き継いで自分が乗ることなども、単純承認とみなされてしまいますね。
では、亡くなった方名義のおうちに住んでいた場合で、台風で瓦が飛んでしまった屋根を直すことはどうでしょう?
このあたりの判断に不安がある場合は、法律の専門家に相談するのがおすすめです!
【NG】遺言書を勝手に開封する
遺言書を見つけた場合、勝手に開封をせず、他の相続人に知らせるとともに、必ず家庭裁判所で検認の手続きを行ってください。
亡くなった父親の部屋を掃除していたら、タンスの奥から遺言書が出てきた・・・。
内容が気になり思わずその場で開封したくなるところですが、勝手に開封をするのは避けましょう。
遺言書を発見した場合、開けちゃダメ!絶対!
家庭裁判所で開封する手続きをしないと、本当に面倒くさいことになります!
民法1005条では、勝手に遺言書を開封した場合には5万以下の過料が科されると規定されています。
実際には、故意でなく開封してしまったケースで過料を科されることはあまりありませんが、偽造や隠ぺいをした場合には、相続人の権利を失うことがあります。
また、本人はそのつもりはなくても、他の相続人から「自分のいいように書き換えたのではないか」「遺言を書くように親を誘導したのではないか」など不要なトラブルや疑いを招くことにもなり得ます。
相続登記手続きなどは、自分たちで開けた遺言書では登記申請を通してくれません。
遺す家族のためを思って作った遺言書がかえって家族を苦しめることになるのは悲しすぎますね。
【NG】故人の携帯電話をすぐに解約してしまう
携帯電話やスマホは情報の宝庫です。解約をして情報が見れなくなる前に、故人が親しくしていた方の連絡先や、銀行や証券など財産に紐づく情報がないか、確認をしましょう。
昔と異なり、今は家庭ごとに電話帳を作成し、紙で連絡先を記録することが少なくなっています。
また、近年は「デジタル遺産」といい、FXや仮想通貨などでデジタル形式で保存をされており、従来のように通帳や証書のような紙媒体で情報が残らない資産も増えております。
デジタル遺産は、パソコンやスマートホンを解約するとアクセスできなくなることも多く、一度消えてしまっては素人では二度と復元できない情報も多くありますので注意が必要です。
逆に、見られたくない情報や記録については、生前に自身で整理・処分をしておく必要がありますね。
【NG】故人と同居していた家からすぐに引っ越す
相続直後に引っ越しや売却を考えている場合には、相続税の特例が適用できるか事前にご確認ください。
相続税には「小規模宅地等の特例」という制度があります。これは、自宅等で一定の要件を満たす場合には、相続税を計算する上での評価額を最大80%減額してくれるもので、故人が亡くなった後も、配偶者や同居していた親族など残された家族が、生活の基盤となる自宅に住み続けることできるように設けられた制度です。
この特例には適用要件が定められており、例えば同居していた長男が適用を受けるためには、
「相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。」を満たす必要があります。
同居して母親の面倒をみていたが、亡くなったことをきっかけに、近くのアパートに引っ越すことにしたというケースでも、そのタイミングによって、相続税に大きな影響が出ることとなります。
上記の例では、早期に自宅から引っ越してしまったことで、特例が適用できず、税金を910万円も多く支払うことになってしまいました。
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