亡くなった人の相続財産の調査は、その後の相続手続きに大きく影響します。
このため、漏れなく正確に進めないといけません。
この記事では、財産の種類ごとの調査方法や調査のポイントをご紹介します。
また、相続財産が必ずしもプラスになるわけではなく、債務超過の可能性もあります。
債務超過の場合は、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄は、相続放棄の事実を知ってから3ヶ月以内に行わなければならないため、なるべく早くに相続財産(遺産)の調査を行うことが重要です。
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まずは相続財産調査の基本について
遺産の調査には、手間と時間がかかります。
調べ漏れなくスムーズに調査できるように、事前の確認が欠かせません。
遺産は大きく分けて5種類!すべて調べて財産目録を作りましょう
調査の結果、判明した相続財産は「財産目録」にまとめます。
財産目録は、遺産分割や相続税申告に利用する重要な書類です。
こちらは家庭裁判所で遺産分割調停などにつかう遺産目録の見本です。
引用元:裁判所HP
遺産は大きく分けるとこの5種類になります。
このほかに、現金や貴金属などの財産もありますね。
この記事では上の5種類の相続財産の調べ方についてご紹介します。
遺産の調査は相続人のうちの1人が単独でできる
遺産の調査は、原則として相続人のうちの一人が単独でできるので、相続人全員の同意は不要です。
複数の相続人がいる場合でも、調査する人が相続人のうちの一人であることが書類で証明できれば遺産の調査は可能です。
相続財産の調査は手間も時間もかかるから、遠方に住んでいる親兄弟の印鑑や同意書が必要ないのはありがたいですね!
銀行の貸金庫の調査については、単独でできない決まりになっているので注意してくださいね!
貸金庫の開扉・解約には原則として相続人全員の同意が必要です。相続のお手続きの際にお渡しする、みずほ銀行所定の「相続関係届書」への署名・押印を行ってください。
みずほ銀行:被相続人が契約していた貸金庫について必要な手続きを教えてください。
遺産調査のために必要な書類
遺産の調査に必要な書類は以下の通りです。
相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本とは
銀行などの窓口で、相続人として手続きをするときは、自分が亡くなった方の相続人であることの証明書類として、相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本の提出を求められます。
相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本は、亡くなった方と調査する相続人の間柄や、亡くなった方の経歴などによって必要な数が変わります。
何代もほったらかしにしていた相続の場合などでは、相続人であることを確認するために必要な戸籍が、数十枚にのぼることもあります。
遺産調査をする相続人が、亡くなった方の配偶者や子供の場合
民法の規定でいうと、配偶者や子どもは、原則必ず相続人になります。
これは、もし亡くなった方が今の家族とは別にお子さんがいたり、養子をとっていたとしても変わりません。
なので、遺産調査をする人が、亡くなった方の配偶者や子であった場合、亡くなった方の相続人であることがわかる戸籍は1~2枚で済むケースがほとんどです。
遺産調査をする相続人が、亡くなった方の親や兄弟、甥・姪の場合
亡くなった方に子供がいない場合、亡くなった方の親が相続人になります。
その親の方が先に亡くなっている場合は祖父母が相続人になり、さらに祖父母も先に亡くなっていた場合は兄弟姉妹が相続人になります。
そして最後に、兄弟姉妹も先に亡くなっていた場合は、兄弟姉妹の子ども(甥や姪)が相続人になります。
これらの場合は、被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍が必要になります。
相続するはずだった人の死亡が、被相続人が亡くなった時より前なのか後なのかで相続する人が変わります。
とっても複雑なので詳しい話は省略しますが、このあたりのことを確認するためにも戸籍が必要なのです。
両親や兄弟たちがが相続人になるのは、被相続人に子供がいない場合だけです。
故人の出生から死亡までの戸籍を揃えて、子供が生まれていないことを証明する必要があります。
子供がいたけどすでに亡くなっているという場合は、その死亡が証明できる戸籍も必要になります。
法定相続情報一覧図があると遺産調査の手続きが楽
遺産調査の手続に限らず、相続の手続きでは、相続人が誰か確認するための書類を何度も何度も使います。
相続関係を証明するための戸籍謄本が1〜2通の場合はあまり問題にはなりませんが、例えば「生涯独身だった叔父さん」などの相続の場合は、必要な戸籍謄本の数がかなり増えます。
戸籍謄本の数が多い場合、手続きに行った機関での確認作業も、かなり時間がかかるようになります。
場合によっては、「確認できる者がいる日にまた来てください」と帰されてしまうこともあります。
亡くなった方が色んな銀行と取引していた場合は、このやりとりを何度も何度も繰り返す必要があって大変なので、法務局で相続情報一覧図というものを作成しておくと便利です。
複雑な相続の場合、銀行にこの相続情報一覧図を持っていくとスムーズです。
銀行の担当さんもめちゃくちゃ喜びます。
不動産の調査方法
自宅以外で、亡くなった方がどの場所にどのような不動産を所有していたかを正確に特定するのは、非常に難しい作業です。
まずは、不動産調査の基本知識から始めましょう。
不動産調査の基本知識
不動産の調査をする前に、調査のポイントを説明します。
土地と建物はそれぞれ別の不動産
日本の法律では、土地と建物はそれぞれ異なる不動産として扱われます。
それぞれが別の財産であるため、先祖代々の土地に自宅が建っている場合、土地は祖父の名義のままで、建物は父親の名義になっているということもあります。
したがって、不動産を調査する際には、土地と建物の両方を調査する必要があります。
住所ではなく地番や家屋番号で特定する
土地や建物には、法務局が割り振る「地番」や「家屋番号」が存在します。
日常生活では「住所」を使用しますが、これは正確には「住居表示」と言い、地番や家屋番号とは異なるものです。
「地番」と「住所(住居表示)」は、似ている場合や全く同じ場合もありますが、両者の関係性はありません。
相続財産である土地や建物を正確に特定するためには、「地番」と「家屋番号」が必要となります。
登記簿は正確な地番を調べてから取ります。
住所で申請しても、取りたい不動産の登記簿は取れないので注意してくださいね。
こちらが登記簿の見本です。
不動産調査のゴールは登記簿謄本の取得
不動産の地番や家屋番号を特定できれば、法務局で登記簿を取得できます。登記簿には、現在誰がその不動産を所有しており、どのような担保が設定されているのか、そして過去に誰から誰へと手が渡ってきたのかが記載されています。
不動産が誰のものかを確認するには、登記簿が最も正確な方法です。
これから説明する不動産の調査は、遺産に含まれるすべての土地建物の登記簿を取得するための作業です。
亡くなった方の所有する不動産をすべて調べ上げて、その登記簿を取るのが不動産調査です!
故人の所有する不動産の調査方法
固定資産税の納税通知書
被相続人が所有していた不動産の存在は、毎年4月ごろに行政機関から送付される「固定資産税の納税通知書」で調査します。
通知書には被相続人が所有していた不動産の大半とその所在地番が記載されています。
ただし、通知書だけでは全てを把握するのは困難なので注意が必要です。
共有物件の場合はほかの共有者に送付されることもあります。
契約・登記関係の書類
不動産の売買契約書や土地の権利書などは重要な書類なので災害に備えて金庫や銀行の貸金庫などに保管されている可能性が高いです。
しかし、手元にない場合もあるので、3つ目の方法も試しましょう。
私道や墓地を所有している可能性があるなら、名寄帳の取得は必須です!
名寄帳で確認する
名寄帳は、市区町村が管理する課税台帳です。
納税の義務がある人それぞれに、所有している土地や建物の一覧が記載されています。
名寄帳には、課税対象の不動産だけでなく、納税通知書には記載されていない非課税の不動産も含まれています。
役所で名寄帳を取得すれば、固定資産税の課税対象である不動産だけでなく、私道や墓地などの非課税不動産も一緒に地番や家屋番号を把握することが可能です。
調査できるのは、その役所の管轄内にある不動産のみです。
管轄外の不動産は調査できません。不動産がある地域の役所での調査が必要です。
共有名義の名寄帳も確認しましょう
名寄帳は一人で所有している不動産と共有名義の不動産とは別々に管理されています。
一人で所有している分の名寄帳だけを確認すると共有名義の私道が調査から漏れてしまう可能性があります。
「共有名義の名寄帳も出してください」と窓口の担当者に必ず伝えてください。
名寄帳には記載漏れもあります
名寄帳には記載漏れがあることもあります。
非課税の不動産は、市区町村も正確に把握していない場合があります。
私道の記載漏れが疑われる場合は、法務局で公図を取得し、さらに調査を行います。
公図を用いて、道路や墓地の「地番」を特定し、それをもとに登記簿を取得します。
故人の名前が現在の所有者または共有者として登記簿に記載されていれば、その道路や墓地も遺産に含まれることが確定します。
未登記の建物が存在する場合
建物が物理的に存在しているにもかかわらず、登記がない場合があります。
通常、建物を建てた際には、物理的な現状を示す「表題登記」という手続きが必要ですが、稀にこれが行われずに建物が放置されることがあります。
このような建物を「未登記建物」と呼びます。
未登記建物は、登記簿が存在しないのが特徴です。
登記簿がない場合、どうやってその建物を調査すれば良いの?
建物が登記されていなくても、固定資産税はきちんと課税されています。
未登記建物の場合、納税通知書や名寄帳で存在が確認できたら調査完了です!
財産目録や遺産分割協議書などに記載する際には、納税通知書や名寄帳に書かれている「棟番」や「構造」などを用いて、正確に特定しましょう。
預貯金の調査方法
亡くなった方の通帳やキャッシュカードがすでに手元にある場合でも、さらに調査することで他にも預貯金の口座が見つかることがよくあります。
故人が金融機関に持っていた預貯金を正確に把握するには、どのようにすればよいでしょうか?
まず、基礎知識を確認しましょう。
預貯金調査の基礎知識
死亡が発覚した時点で口座は凍結される
預貯金の調査をして、口座名義人が死亡したことが金融機関に伝わると、亡くなった方の口座は全て凍結されます。
口座が凍結されると、預金の引き出しや光熱費等の口座振替ができなくなります。
故人が貸金庫も利用していた場合、口座と同時に貸金庫も凍結されます。
貸金庫が凍結されると、中にある遺言書などの重要な書類が確認できなくなり、手続き全体に影響を及ぼします。
全ての銀行を一括調査する手段はない
預貯金の調査は、金融機関ごとに行われます。
そのため、まずは預貯金を持っている可能性がある銀行を特定し、その銀行を一つ一つ個別に調査していくことになります。
全国には多くの銀行が存在するため、被相続人が利用していた可能性がある金融機関に絞って問い合わせを行いましょう。
選び方の参考としては、遺品から見つかった通帳や、銀行からもらった粗品などを利用します。
また、故人の生活圏内にある金融機関への口座有無の問い合わせも無難です。
故人が貸金庫を契約していた場合は、凍結前に貸金庫から調査するのがおすすめです!
預貯金の調べ方
銀行に名寄せを依頼する
名寄せとは、その銀行で開設している全ての口座を一覧化することです。
まずは、この名寄せを利用して、その銀行の全支店に開設している全ての口座を把握します。
残高証明書の発行
口座の情報がまとまったら、すべての口座について残高証明書を発行してもらいましょう。
窓口で、残高証明書の発行依頼書を提出します。
取引履歴の発行
預金口座の取引内容を調査する際は、取引履歴の発行が必要です。
取引履歴は、特定の期間を指定して発行できます。
したがって、調査したい内容に応じた期間を指定して発行してください。
利息計算書を発行してもらう
将来、相続税の申告が必要になる可能性がある場合、残高証明書と一緒に「利息計算書」も発行してもらいましょう。
相続税申告時に預貯金の価値を評価するために必要です。
ネットバンクの取引調査
調査を行うためには、ネットバンクに関する郵送物をチェックするだけでなく、電子メールも確認することが重要です。
銀行名が分かったら、カスタマーセンターに電話して、相続手続きの方法を確認しましょう。
手続きの内容に差はありませんが、ほとんどが郵送のみで受け付けているため、時間がかかることが多いです。
上場株式・国債・投資信託の調査方法
上場株式、国債、投資信託などの有価証券は、ほとんどが証券会社を窓口として取引されています。
調査の最大のポイントは、「どの証券会社が取引の窓口になっていたか」を割り出すことです。
証券の保有状況を調査する方法
亡くなった方(被相続人)が取引をしていた証券会社の手がかりを探します。
故人が株式を保有していたかどうかを調査する一般的な方法は、故人名義の口座が存在する証券会社(上場株式等の場合)や株式発行会社(非上場株式の場合)に問い合わせることです。
証券会社からの郵送物(売買報告書や配当金の案内)、口座開設申込書、または配当金が振り込まれる銀行口座の通帳の記載内容など、過去の書類から探すことが可能です。
被相続人宛の郵便物を確認する
株取引が行われていた場合、証券会社から郵便物が届いている可能性があります。
電子交付を除き、証券会社は年に1回以上「年間取引報告書」を送付しているはずです。
郵便物がある場合は、記載されている連絡先に連絡を試みてみてください。
通帳の振り込み記録を確認する
株式を保有している場合、通帳に配当金が振り込まれている可能性があります。
亡くなった方の通帳を確認し、見覚えのない振込がないかを調べてみてください。
確定申告の控えを確認する
株式の売買などで所得が20万円を超えている場合、原則として確定申告が必要です。
そのため、確定申告の控え書類を調べることで証券会社を特定できる可能性があります。
PC・スマホを確認する
オンラインで株取引を行っていた場合、明細が郵送で届かない可能性があります。
その際は、故人が利用していたパソコンやスマホの「ブックマーク(お気に入り)」や閲覧履歴を見てみてください。
証券会社のウェブサイトやログイン画面が登録されていたら、その証券会社を利用していた可能性が高いです。
また、パソコンのメールでも確認できることがあります。
証券会社が分からない場合は…
上記の方法を試しても証券会社が判明しない場合は、上場株式等の振替を一括管理している証券保管振替機構(通称「ほふり」)で照会すると、故人名義の口座がある証券会社を把握することができます。
ほふりとは、簡単に言うと証券を預かって管理している機関です。
証券会社に行う手続
証券会社が有価証券の取引窓口となっています。
その証券会社に対して、まず電話で連絡を行います。
証券会社は大半が郵送での手続きを受け付けているため、電話で手続方法を確認することが重要です。
口座名義人が亡くなった、または相続の手続きを行いたいと伝えると、必要な書類を送付してくれます。
相続人であることが証明された場合には、株の保有状況や預り金の残高などの情報を開示してくれます。
残高証明書の発行を依頼する
預貯金口座と同様、保有する有価証券の残高証明書の発行を依頼します。
電話で「残高証明書を発行してもらいたい」と伝え、書類を送ってもらいます。
残高証明書の日付は、被相続人が亡くなった日を指定します。
後の相続手続で必要な書類も郵送してもらう
残高証明書の発行依頼と一緒に、後の相続手続きで必要になる相続手続依頼書等ももらっておきます。
証券会社によっては、相続人全員による遺産分けの話し合い(遺産分割協議)が完了していないと、書類を渡してくれない場合があります。
その際は、調査が終わり手続きが進むタイミングで、再度必要書類の請求を行います。
生命保険の調査方法
故人が生命保険に加入していた場合、種類によっては死亡保険金を受け取ることができます。
死亡保険金は自主的に保険会社に請求しなければ受け取ることができません。
葬儀などが一段落したらできるだけ早く保険会社に請求しましょう。
また、死亡保険金の請求には期限があり、大半は故人の死亡日から3年以内に請求しなければ時効となります。
また、故人が勤務先で加入している保険もある可能性があるため、その確認もお忘れなく。
死亡保険金は遺産になるの?
故人が加入していた生命保険から支払われる死亡保険金は、法律上は原則として相続財産には含まれませんが、相続税を算出する際には「みなし相続財産」として計算されます。
受取人が故人本人の場合
受取人が亡くなった方(被相続人)になっている場合、生命保険金は遺産に含まれます。
そのため、相続人全員による遺産分けの話し合い(遺産分割協議)で、誰がどのように取得するのかを決める必要があります。
受取人が故人とは別の人の場合
受取人が相続人になっている場合、生命保険金は、受取人の固有の財産となります。
この場合、遺産分けの話し合いの対象にする必要はありません。
故人の生命保険を調査する方法
故人が生命保険の加入を家族や親族に告げずに亡くなった場合、受け取る前に時効となる可能性が高いです。
そのため、故人が生命保険に加入しているか不明な場合は以下の方法で調べてみましょう。
それぞれ詳しく説明します。
保険証券を確認する
被相続人が加入していた生命保険を知る一番の方法は保険証券の確認です。
保険証券は保険契約の証明で、契約が成立した後に必ず保険会社から保険契約者に交付されます。
保険証券には契約内容がすべて記載されています。
もし詳細が不明な場合は、証券番号を控えて保険会社へ問い合わせてみましょう。
被相続人宛の郵便物を確認する
生命保険に加入していると、「ご契約内容のお知らせ」が届く可能性があります。
これは主に誕生月や契約月に交付されます。
また、10月以降には「生命保険料控除証明書」が届きます。
これらの書類があると、何らかの保険に加入していると考えられます。
内容を確認し、送付元の保険会社へ問い合わせましょう。
書類を探す際には、タンスやデスクの中、バッグや目立たない場所も細かく探すことが大切です。
生命保険に入っていたら10月〜11月頃にかならず届く
生命保険料控除証明書は大きな手掛かりになりますね!
通帳の引き落とし履歴を確認する
「保険証券」や「ご契約内容のお知らせ」等が見つからない場合は、本人名義の金融機関の通帳を確認してみましょう。
保険料の支払いが口座振替の場合、通帳の記載から保険会社を特定できます。
クレジットカード明細を確認する
保険料の支払いがクレジットカードの場合、明細から確認できます。
書類が届かない場合はネットで確認してみましょう。
パソコンやスマホを確認する
ネット保険に加入している場合、取引明細はオンラインで確認できるため郵便物が届かないことがあります。その場合は、亡くなった方のパソコンやスマホの「ブックマーク」や「閲覧履歴」を確認してみましょう。
保険会社のサイトやログイン画面が登録されている場合は、その保険会社を利用している可能性が高いでしょう。
また、メールの送受信履歴からも確認できます。
勤めていた会社に問い合わせる
亡くなった方が会社員であった場合、勤務先に問い合わせることで加入していたことが判明することがあります。
団体で加入している保険は、本人も忘れてしまうことがあるので、年末調整時の保険料控除申告書に記載がある場合は、勤務先の保険事務担当者に問い合わせてみましょう。
会社が団体で加入している場合、給与から控除されている可能性もありますので、給与明細も確認しましょう。
一般社団法人生命保険協会で調査する
一般社団法人生命保険協会が有料で調査を行っています。
申し込みはWEBまたは書面で可能です。
利用できるのは照会対象者の法定相続人、法定代理人または任意代理人、遺言執行人となります。
身近なグッズが保険会社の特定の手掛かりになることも
通帳やパソコンだけでなく、生命保険会社の名前が記載されたアイテムが自宅にある場合、その保険会社と契約している可能性があります。
一般的には、カレンダーやタオル、クリアファイル、メモ帳、ペンなどが該当します。
また、お中元やお歳暮からも会社を特定できる場合があります。
これらの手がかりがある場合、必要な書類を持参し、故人が契約していたかどうかを照会できます。
生命保険の会社に行う手続き
故人が加入していた生命保険が特定できたら、その契約内容を確認しましょう。
保険には様々な種類があり、内容によっては死亡保険金が支払われない場合もあります。
死亡保険金が支払われる保険の種類は「死亡保険」と「生死混合保険(養老保険)」です。
保険期間が終身の場合、請求期限までに申請すれば死亡保険金を受け取ることが可能です。
しかし、亡くなった時点で保険期間が終了していた場合、死亡保険金を受け取ることはできません。
どんな保険であっても、保険金額と保険期間を忘れずに確認しましょう。
借金も相続の対象になります。亡くなった方が借金を抱えていた場合、その借金は相続人に相続され、相続人が支払いを行わなければなりません。
「借金を相続した可能性がある」という疑問がある場合、適切な方法で借金を調査し、確認する必要があります。借金の調査方法としては、信用情報機関への開示請求が有効です。また、郵便受けや自宅の各場所、通帳の記帳内容なども確認するようにしましょう。
借金の調べ方
相続財産には不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
故人の借金を知らずに相続してしまうという事態を避けるために、自分が相続人になった際には、故人が借金を抱えていなかったかを調べる必要があります。
相続対象となる借金とは?
以下のような借金や負債はすべて相続の対象となります。
相続人になった場合、残された借金の有無を慎重に調査する必要があります。
しかし、以下のような負債が被相続人にあった場合、通常は支払いが免除されます。
消費者金融、クレジットカードやローンの調査方法
借金や負債の種類別に調査方法を紹介します。
まず、消費者向けローンの調査方法について説明します。これには消費者金融、クレジットカード、カードローンなどが含まれます。
信用情報機関に情報開示請求をする
消費者向けローンについては、「信用情報機関」に情報開示請求をすると詳細を正確に把握できます。
信用情報機関とは、個人のローンやクレジットの利用履歴を登録している専門機関です。その人がどこの貸金業者や金融機関からどのくらいの借り入れをしているかを詳細に把握しています。相続人であれば、被相続人の信用情報を取得できます。借金の明細を知りたい場合は、開示申請を行ってください。
信用情報機関には以下の3つがあります。
3つすべてに開示請求して、故人の借金を洗い出します!
JICC(株式会社日本信用情報機構)
郵送、アプリ、窓口申請で受け付けています。郵送やアプリで申請すると、約10日で開示書類が送られてきます。
本人が亡くなっている場合、開示申し込みできますか?
JICC:「開示手続き」のよくある質問
亡くなられた方の信用情報については、法定相続人または2親等以内の血族の方等がお申し込みできます。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
郵送、WEB申請、窓口申請で受け付けています。
郵送で申請した場合、約10日で開示書類が送られてきます。WEB申請の場合、その場で閲覧可能です。
CIC
https://www.cic.co.jp/index.html
加盟会員の例
・信販会社 ・百貨店 ・専門店会 ・流通系クレジット会社 ・銀行系クレジット会社 ・家電メーカー系クレジット会社・自動車メーカー系クレジット会社 ・リース会社 ・保険会社 ・保証会社 ・銀行 ・消費者金融会社 ・携帯電話会社 など
CIC:CICとは
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
インターネットまたは郵送で申請を受け付けています。
全国銀行個人信用情報センター
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
Q7.死亡した者の開示は、誰でもできますか。
A7.当センターにおいては、法定相続人または法定相続人の法定代理人(相続財産管理人を含む。)に限り、被相続人(亡くなった方)の開示の申込みができます。Q8.開示申込をしてから開示報告書を受け取るまでどれくらい日数がかかりますか。
一般社団法人 全国銀行協会:【1】本人開示の手続きについて
A8.7日から10日ほど見込んでください。
必要書類
信用情報の請求手続きを行う際には以下の書類が必要です。
費用
窓口申請は500円、それ以外の申請方法は1000円が必要です。
自宅を調査する
信用情報だけでは借り入れ状況を100%確認できません。
漏れがないか、以下の資料が自宅に残っていないか確認してください。
個人からの借金や滞納税、滞納公共料金の調査方法
個人からの借金や滞納税、公共料金やスマホ代などの未払い分は信用情報に記録されていないため、別の方法で調査する必要があります。
自宅の調査
まず、自宅内に以下の書類が残されていないか確認しましょう。
郵便受けのチェック
借金や負債を調べる際には、郵便受けのチェックが必要です。
支払いが滞ると、債権者は通常、督促状を送付します。
留守電の確認
被相続人の携帯電話に督促の電話が残されていることがあります。
留守電の内容も確認しましょう。
連帯保証債務に注意
特に、被相続人が事業者だった場合、連帯保証債務に注意が必要です。
連帯保証債務では、主債務者が返済している限り、保証人への督促はありません。それゆえ、相続人が負債の存在を知る機会がなく、見過ごしがちです。
しかし、主債務者が返済を停止すると、相続人に大きな請求が来ます。これにより、相続人は困難に直面します。
被相続人が法人を経営していた場合、会社の負債を保証している可能性が高いです。
また、知り合いの経営者の保証人になったケースもあります。
会社関連の書類も含めてチェックし、連帯保証債務がないか確認しましょう。
相続放棄で借金の免除が可能
負債を相続したくない場合、相続放棄が有効です。相続放棄すると、その人は「初めから相続人ではなかった」となり、一切の相続を避けることができます。
ただし、相続放棄には期限があります。
基本的に「相続開始を知ってから3カ月以内」に家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行わなければなりません。
期限を過ぎると借金を相続せざるを得なくなる可能性が高まるので、注意が必要です。
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