この記事では、いざ「借金の相続ってどうなるの?」となったときに、まず何をすればいいのか、債権者への連絡はどう進めるとスムーズなのかなどを、わかりやすい言葉で紹介します。
亡くなった方に借金があることがわかった時に、焦って対応してしまうと、取り返しのつかない事態になってしまう場合があります。
記事を読む前に、個人に借金があった場合、1番大事なことを先に伝えますね。

相続する財産の全体が把握できていない状態では
一円も払っちゃダメ
「払います」って言うのもダメ

えっ…それって人としてどうなの?
お借りしたものは少しでも返すのが筋だと思うんだけど…

借金の相続は基本的に、全部背負うか、全部放棄かの二択になるよ。
「返せる範囲で返す」ためには、特別な手続きが必要だよ。
そして、その手続きをしないまま1円でも支払ったら、故人の借金を全部背負うことになるよ。

こ、こわすぎる…

怖がらずに、一歩ずつ準備していきましょう!
債権者へは具体的にどう対応すればいいのでしょうか?
押さえておきたい債権者への連絡方法や相続財産の取り扱いについて、ここから詳しく見ていきましょう。
▼相続放棄についてはこちらの記事もおすすめ▼
相続財産に負債があるとわかったら相続人はどうすればいいのか?

相続財産の中に借金が含まれていると気づくことがあります。たとえば、
というケースなどですね。
よかれと思って…と動くと取り返しがつかないことになる可能性があります

「相続放棄」や「限定承認」をする可能性があるなら、下手にお金を払ったり債権者と交渉したりしないほうが安心です。
なぜなら、借金を払う行為が「相続を承認した」とみなされることがあるからです。
手順を踏まずに支払いや不動産の名義変更をしてしまうと、「相続を受け入れた」と解釈されてしまいます。
「借金まで背負うことになった」「使い道のない不動産を持て余す」など、後から「こんなはずじゃ…」と困るケースも少なくありません。
少しでも支払っちゃうと「単純承認」に…?

債権者からの通知に慌てて、相続財産から少額でも返済してしまうと、民法921条1項がポイントになってきます。
ここでは、「相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続した(単純承認)とみなす」とされています。つまり、一度お金を払ってしまうと、「財産も借金もひっくるめて全部相続します!」と言ったのと同じ扱いになる可能性があるわけです。
債権者から支払通知が来ても焦らないで!まずは落ち着いて!
「すぐお金を払ってください。」と言われることがあっても、相続放棄や限定承認を検討していると伝えましょう。
焦って返済すると、後で相続放棄が使えなくなるリスクがあります。

相続の問題に限らず、債務の支払通知書は、焦って対応すると大損する可能性があるものなので、よくわからない場合は、まずは信頼できるところに相談してみましょう。
熟慮期間は3ヵ月

自分が相続人であると知った日から3ヵ月以内に、「相続するのか」「相続放棄するのか」「限定承認するのか」を判断する必要があります。
「熟慮期間内に債権者からの支払い通知があって、その時点で借金の存在に気づく」なんてことも。
期間を過ぎてしまったときは、裁判所に熟慮期間の延長を申請できるケースもあるので、一度専門家に相談すると安心です。
相続放棄するなら家庭裁判所へ申し立てる
相続放棄や限定承認を決めたら、すみやかに家庭裁判所へ申し立てをします。
これをやらないでいると、借金までそっくり相続してしまうかもしれません。
通知してきた債権者に連絡しなきゃいけないの?
相続放棄や限定承認の手続きを進める場合、厳密には債権者への連絡義務はありません。
ただ、何も言わないまま放置すると、債権者の督促が止まらずに届き続けるので、「相続放棄の申立てをしています(または、する予定です)と伝えておくと督促が落ち着くことが多いです。
相続放棄手続き終了後の債権者への連絡

「相続放棄が認められたら、もう借金は支払わなくていい!」
確かにそうなのですが、その事実を債権者が知らない限り、請求は続く可能性があります。
どうやって請求を止めるの?
- 裁判所から送られてくる「相続放棄申述受理通知書」のコピーを、債権者に郵送やFAXで送ってあげましょう。
- これを見ることで、「あ、相続放棄が認められたんですね!」と納得してくれるはずです。
大切な通知書は原本を送らないように!
- 「相続放棄申述受理通知書」は、手続きごとに1通だけ発行されます。
- 債権者に送るのはコピーでOK。原本を送ってしまうと手元に残らず、後々必要になったときに困ります。
「相続放棄申述受理証明書」が必要になる場合も
- なかには「通知書のコピーじゃ足りません。原本を見せてください!」と言う債権者もいます。
- そんな場合は、「相続放棄申述受理証明書」という書類を取得しましょう。
- 1通150円で発行できて、再申請も可能。こちらは原本で提出する形になっても、もう一度取り寄せれば大丈夫です。
債権者対応が面倒なときは?
「直接やり取りするのがストレス…」という方は、専門家(弁護士・司法書士など)に依頼するのがおすすめです。
債権者への説明や連絡を代行してくれるので、自分が間に入らなくて済むぶん、かなりラクになりますよ。
まとめ
相続は人生でも大きなイベントの一つ。迷ったら早めに専門家に相談することで、余計なトラブルを防ぎ、安心して手続きを進められます。
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