突然ですが、「相続人になりました!」と言われると、なんだかドラマみたいでびっくりしますよね。
とくに、普段は相続のことなんて気にしたこともないのに、いきなり「戸籍を集めて、書類をそろえて…」と言われても、正直「なにそれ、どうすればいいの?」と戸惑ってしまう方も多いと思います。
でも大丈夫。
今回は、そんな“突然の相続人デビュー”を迎えた方に向けて、戸籍収集と書類準備の流れをやさしく解説していきます。
むずかしい言葉はできるだけ避けて、できるだけ親しみやすくご紹介しますね。
読み終わるころには、相続手続きの全体像がなんとな~くでもつかめるはずです。
「えっ、私が相続人?」からはじまる物語

人生、何が起きるかわかりません。
ある日突然、遠くに住む親戚や家族が亡くなったという知らせを受けて、「もしかして、私も相続人かも…?」となることがあるかもしれません。
相続って「お金がもらえる」と思う人もいるかもしれませんが、実際には相続財産に“マイナス”も含まれることがあります。
借金とか、ローンとか、よく知らないと大変なこともあるんです。
しかしながら、相続放棄をするにしても、遺産分割の話をするにしても、まずは「誰が相続人なのか」をしっかり確定しないことには、何も前に進みません。
そのためにも必要になってくるのが「戸籍収集」。
これによって法律上の相続人が誰なのかを確認するわけですね。
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まずはなぜ戸籍を集めるの?

戸籍というのは、その人がいつ生まれ、誰の子どもで、結婚したのか離婚したのか、そしてもし亡くなった場合には死亡届が出されたのか…といった情報が記録されている「家族の履歴書」みたいなもの。
相続においては、亡くなった方(被相続人といいます)に子どもがいたのかいなかったのか、配偶者はいるのか、過去に離婚や再婚はあったのか、認知した子どもはいないか…などを確認する必要があるんですね。
たとえば亡くなった方が再婚していたり、認知した子がいたりすると、「あれ? 自分以外にも相続人がいる…?」なんていう話になることも珍しくありません。
遺産をどう分けるかを決めるには、“そもそも相続する権利がある人は誰なのか”をきちんと確かめることが大切です。
集めるべき戸籍の種類
戸籍って聞くと「本籍地の役所で出してもらうんだよね」くらいはなんとなくわかる方もいるでしょう。
でも、実は戸籍にはいくつか種類があります。
要は、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍をすべてつないでいくイメージです。
こうして全記録をたどることで、相続人が漏れなく誰かを割り出せるわけですね。

一生同じ場所に住んでいた人でも、「改製」があるから、出生から死亡までの戸籍は複数枚になることがほとんどですよ。
戸籍をどこでどうやって取る?

戸籍は本籍地のある市区町村役場で手に入ります。
でも、亡くなった方の本籍がころころ変わっている場合は、まず「どこに本籍があったのか」を順番に追いかけなくてはいけません。
1. まずは最後の本籍地へ
亡くなった方が最後に置いていた本籍地の役所に「戸籍謄本(現在の戸籍)」を請求します。
役所の方には、「相続の手続きで必要なので、出生から死亡までの連続した戸籍を取得したい」と伝えておくとスムーズです。
2. 前の本籍をたどる
最後の本籍地の戸籍に、以前の本籍地が記載されているので、そこに移動してまた戸籍を取り寄せます。
その戸籍にさらに前
の本籍地があれば、また次へ…。
こうして生まれたときから亡くなるまでの流れを全部確認するのがポイントです。
3. 郵送での取り寄せも可能
もし遠方の場合は、役所に行くのが難しいかもしれません。
でも大丈夫、郵送でも取り寄せできます。
役所のホームページを見ると、申請書の様式が用意されていたり、必要事項の案内があったりします。
申請書・返信用封筒・手数料分の定額小為替(郵便局で買えます)などをそろえて、郵送で申請すると、戸籍を送ってもらえるんです。

「○○市 戸籍 郵送」でググるとすぐ必要なページが出てきますよ~
ほかに必要な書類は?
戸籍以外にも相続に必要な書類はいろいろあります。
たとえば、相続人それぞれの印鑑証明書や住民票、遺産分割協議書などです。
ここではざっくりイメージをお伝えしますね。
相続の内容やケースによっては、他にも書類が必要になることもありますが、基本的には上記のものが中心になるでしょう。
これだけ見ると「書類多いなあ…」とつい思ってしまいますが、「何のために必要なのか」を理解できれば、案外スッと頭に入ってきます。
戸籍収集と書類準備の流れをまとめると…
- 亡くなった方の最終の本籍地で、戸籍謄本を取得
- 役所へ行くか、郵送で申請
- 「出生から死亡まで全て」をそろえる旨を伝えておく
- 過去の本籍地へさかのぼりながら、除籍謄本や改製原戸籍を取得
- 最終の戸籍に載っている情報を手がかりに次の本籍地を探る
- 相続人が確定したら、印鑑証明書や住民票など、各相続人に関する必要書類を集める
- どれも市区町村役場で取得可能(印鑑登録がない場合は、まず印鑑登録をする)
- 遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印(実印)
- 書き方がわからない場合は、専門家(司法書士・行政書士・弁護士など)に相談するのもアリ
- 不動産や銀行口座などの名義変更を行う
- それぞれの窓口に必要書類を提出して手続き完了
大きく分けると、こんなイメージです。
「なんだかめんどうそう…」と思うかもしれませんが、最初にざっくり流れを把握してしまえば、あとは順番にこなすだけ。
書類をそろえるたびにチェックリストを作っておくと混乱しにくいですよ。
ちょっとしたコツと注意点
プロに相談するのも手

戸籍収集から書類準備まで「自分たちで全部やるのが難しい…」という場合は、司法書士や行政書士、弁護士といった専門家に依頼する方法もあります。
費用はかかりますが、その分スムーズに手続きが進むメリットがあります。
相続の内容が複雑そうだったり、「自分でやるには時間がない…」という方は、プロの力を借りるのも検討してみてください。

慣れていない場合、思った以上に手間取るのが戸籍収集なので、
複雑そうな場合は専門家にお願いするのがおすすめですよ。
おわりに
突然相続人になって、「戸籍収集って何から始めればいいの?」と戸惑う気持ちはよくわかります。
でも一度ポイントを押さえてしまえば、やるべきことの流れは決まっているんですね。
- 亡くなった方の戸籍を出生から死亡までそろえる
- 相続人を確定する
- 自分も含めた相続人全員の印鑑証明書や住民票を取る
- 遺産分割協議書を作成して実印を押す
- 各種名義変更を行う
これだけ押さえておけば、前に進みやすくなるはず。
大事なのはあまり身構えずに、「いつかは自分の番にも回ってくるかもしれないから、今のうちに知っておこう」という気持ちで取り組むことです。
もし「どうしてもわからない!」「トラブルが起きそう…」となったら、遠慮なく専門家の扉をたたいてください。
相続は誰にとっても一大事ですが、きちんと進めれば、きっと円満に着地できますよ。
もし今まさに相続手続きで戸惑っている方がいらっしゃれば、まずは今日お伝えした戸籍収集の流れから始めてみてください。
面倒に思えるかもしれませんが、一歩ずつ着実に前に進んでみましょう。
何事も、はじめの一歩が肝心。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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